第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演9群 ポストコロナ社会の看護への示唆~新人教育~

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第8会場 (G314+G315)

座長:篠﨑 まゆみ

[口演Y-9-4] コロナ禍で行う新人看護職員研修の教育効果に関する研究

西世古 真衣 (三重県立志摩病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症、コロナ禍での実習への影響、集合研修、新人看護師研修、コミュニケーション不足

【目的】コロナ禍で行われたA病院の新人看護職員研修(以下、新人研修とする)が、新人看護師になることに対する不安が強い傾向にある看護師の抱える不安を軽減するために有効な研修であったのか明らかにする。【方法】A病院に202X年度に新卒採用された入職2年目の看護師11名を対象に、対面式で半構造化インタビューを実施した。データは逐語録化し質的記述的方法で分析した。本研究の趣旨と対象者のプライバシーの保護、参加および撤回の自由などを文書と口頭で説明し同意を得た。【結果】すべての対象者が、看護基礎教育課程最終学年時の実習は新型コロナウイルス感染症の影響により実習中止または期間短縮があったと回答した。このまま看護師となって働くことに対する不安を11人中10人が抱えていた。入職前に抱えていた不安の原因は13コードが抽出され、≪実習で経験がつめなかった≫≪患者とのコミュニケーション機会の制限≫≪看護師としての知識・技術の不足≫≪働くイメージの不足≫という4のカテゴリーに分類された。研修により新人看護師が実感している成果は24コードが抽出され、6のサブカテゴリー、≪1年間の研修の成果≫≪入職時とは別の新たな不安の出現≫≪自分なりの不安の軽減方法≫という3のカテゴリーに分類された。新人研修は、講義のみへの変更も含め感染対策を整えたうえで、例年同様に26項目の研修を実施した。新人研修をより良い研修にするための新人看護師からの要望は、研修回数や時間の拡大、グループワーク・交流する機会の増大、自部署では経験できない看護技術の研修希望などがあがった。【考察】対象者は、新人看護師としての一般的な不安に加え、新型コロナウイルス感染対策による実習中止・期間短縮による経験不足から不安を抱えていたことが明らかとなった。これらの不安は、新人研修において知識の獲得・技術の経験をすることにより不安の軽減につながった。また、同じ立場で悩みを抱えている同期に会えることにより安心感をも得られた。このことから、コロナ禍で行われたA病院の新人研修は、新人看護師が抱える不安を軽減するために有効であったと言える。そのため、看護師としての知識・技術の習得だけでなく、人的交流の場を意識した新人研修づくりを行うことで、さらなる不安軽減効果が期待できると考える。