[ポスターY-10-1] COVID-19による面会制限下での終末期がん患者の関わりに対する看護師の困難感の傾向を捉える
Keywords:COVID-19、看護師、終末期がん、困難感
【目的】COVID-19 による面会制限下における終末期がん患者の関わりに対する看護師の困難感の傾向を調査する。【方法】研究デザイン:実態調査研究。研究期間:令和4 年2 月~ 3 月。対象者:A 病院B 病棟看護師29 名。方法:看護師のがん看護に対する困難感尺度をもとにアンケート用紙を作成し49 項目について「全くそう思わない」「そう思わない」「あまりそう思わない」「ややそう思う」「そう思う」「非常にそう思う」の6 件法で回答を得た。看護師経験年数は4年目以下、5 ~ 9 年目、10 ~ 14 年目、15 ~ 19 年目、20 年目以上に分類し比較した。倫理的配慮:研究の目的、方法、個人情報の保護、研究参加と途中撤退の自由について、文書と口頭にて説明し同意を得た。【結果】質問に回答した者は25 名(有効回答率100%)で、1 ~ 4 年目4 名(16%)、5 ~9 年目(16 %)、10 ~ 14 年目3 名(12 %)、15 ~ 19 年目4名(16%)、20 年目以上10 名(40%)であった。B 病棟では、コミュニケーションに関すること、システム・地域連携に関すること、自らの知識・技術に関すること、告知・病状説明に関すること、医師の治療や対応に関すること、看取りに関することの順に困難感が高かった。経験年数別では、1 ~ 4年目と20 年目以上:自らの知識・技術に関すること、5 ~ 9年目:コミュニケーションに関すること、10 ~ 14 年目:システム・地域連携に関することに対して最も困難感を感じていた。【考察】面会制限に伴い、限られた時間の中で濃密な介入や支援を十分に行うことができない現状があり、家族が患者状態の変化を受容することが難しくなり、看護師は患者・家族対応にジレンマや困難感を感じていると考えられる。また、COVID-19 陽性患者受け入れのためのベッド調整による他科患者の入院や患者数の増加、複数科の医師とのコミュニケーションを思うように図れないことも多く、患者の一番近い存在であり、ケアを行う看護師の困難感をさらに高める要因になったと推察される。経験年数別では、どの年代においても困難感を感じていたが、困難を感じる項目は異なっていた。経験を重ね、実践的知識や技術を獲得していくことにより、新たに不足と感じる知識や技術、価値観の変化が生じるため困難感の要因が変化していくと考えられる。