第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター10群 ポストコロナ社会の看護への示唆~家族看護②~

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:山内 京子

[ポスターY-10-3] 神経精神科病棟における窓越し面会に対する家族の思い

森 万希生, 齊藤 志穂, 水林 美華, 山本 昌幸, 柴田 久美 (かみいち総合病院)

キーワード:神経精神科閉鎖病棟、コロナ禍、窓越し面会

【目的】新型コロナウイルス感染症の流行に伴いA 病院神経精神科閉鎖病棟では、2020 年2 月からガラス窓を介しての窓越し面会を開始した。そこで、神経精神科閉鎖病棟における窓越し面会に対する家族の思いを明らかにする。【方法】インタビューガイドを用いて5 名の家族へ半構造化面接を行い、コロナ禍での窓越し面会に対する思いを聞き取りした。収集したデータより逐語録を作成し、面会に対する家族の思いを抽出しコード化した。抽出したコードの意味の類似性にそってサブカテゴリー・カテゴリー化し分析を行った。家族へ研究の目的や意義、方法について書面を用いて説明した。匿名性を遵守することや、収集データは研究目的以外には使用しないことを説明し同意を得た。【結果】面接調査より37 のコードが抽出され、〈顔が見える安心感〉〈会える喜び〉〈病状の変化への気づき〉〈時間の制約がない気軽さ〉〈感染から守られる安心感〉〈声の聞こえにくさ〉〈姿の見えにくさ〉〈触れ合えない寂しさ〉〈医療者に対する遠慮〉〈コロナ禍による直接面会への諦め〉の10 サブカテゴリーが抽出された。そこから《窓越しで面会できる喜び》と《直接面会できない不自由さ》の2つのカテゴリーが抽出された。【考察】窓越し面会を経験した家族からは、面会できたことを喜ぶ意見が多く、窓越しではあるが、家族が患者と近い距離で交流できたことで〈顔が見える安心感〉や〈会える喜び〉といった思いが得られた。また、実際に患者と会って会話できることで〈病状の変化への気づき〉が得られ《窓越しで面会できる喜び》へと繋がっていた。一方で、面会を行う場所の構造上の問題により、家族は〈声の聞こえにくさ〉や〈姿の見えにくさ〉を感じていた。また、感染対策が必要であることで〈触れ合えない寂しさ〉や〈コロナ禍による直接面会への諦め〉といった思いがあった。さらに、面会を毎回依頼しなければならないことにより〈医療者に対する遠慮〉があり《直接面会できない不自由さ》に繋がっていた。窓越し面会はコロナ禍により家族の交流が制限される中でも、家族と患者の関係性を高め、安心感や満足感を得ることができる面会方法であることが示唆された。新型コロナウイルス感染症が5 類感染症となる今後の面会は、家族が抱く不自由な思いを考慮し、本人や家族の思いに寄り添い、患者と家族が充実した時間を過ごせるように取り組むことが必要である。