第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター11群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処①~

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:鈴木 美智子

[ポスターY-11-4] COVID-19患者の看護に携わる看護師の思い

小早川 康夫, 村田 由紀, 山﨑 育子, 前田 勝代, 酒井 加代子 (熊本市民病院)

キーワード:COVID-19、ストレス、ジレンマ、ストレスコーピング、

【目的】COVID-19 患者を看護する中で看護師は様々な思いを抱いていた。本研究はCOVID-19 という特殊な状況下で患者に関わる看護師の思いを把握する事で、看護師の心理的負担を軽減し、看護業務の満足感の向上や看護ケアの充足に繋げることを目的とした。【方法】研究対象はA 病院でCOVID-19 患者に関わった看護師10 名。調査方法はインタビュー形式で行った。分析方法はインタビュー内容を元に逐語録を作成。思いに関するすべての記述を抽出しコード化。類似したコードを集めてカテゴリー化した。倫理的配慮として、対象者に本研究の趣旨を説明し、参加は自由意思であり調査を拒否しても不利益は一切生じないこと、プライバシーの保護及び得られたデータは目的以外に使用しない旨を口頭と文書で説明し、同意書にて承諾を得た。【結果】110 コード、14 サブカテゴリーから「新規で未知の感染症患者の看護に従事することによる仕事の質と量の著しい変化」、「今まで行ってきた看護を行うことができないといった葛藤」、「自身や家族への感染の不安や他者に知られたくないという思い」、「COVID-19 病棟配属されてよかったこと」の4 つのカテゴリーが導き出された。【考察】COVID-19 患者の受け入れ初期には〈未知の感染症に関する恐怖〉や〈重症患者を看護する不安〉を感じながら過酷な業務に従事することで様々な困難を経験し、新規で未知の感染症患者の看護に従事する事による仕事の質と量の著しい変化に戸惑った。感染対策のため〈看護を続ける中で生じるジレンマ〉や患者に対しての申し訳なさや無力感を感じ、今まで行ってきた看護を行うことができない葛藤を感じていた。〈自分や家族に感染するかもしれない不安〉や〈社会の中での偏見について〉など複雑な思いを抱き、自身や家族への感染の不安や他者に知られたくないという思いを抱いていた。感染症に対しての知識の習得や、感染手当や患者減少時の休みの追加といったことなどCOVID-19 病棟配属に関して良かったと思えることもあり、仕事に対してのモチベーションを維持出来ていた。様々な不満など聞かれる一方で前向きに捉えることもできており、今後同様の感染症の流行に直面する可能性を想定した具体的な管理体制の準備や負担の検討などしていくことが、看護師の負担を軽減しより良い看護の継続につなげられると考える。