第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター11群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処①~

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:鈴木 美智子

[ポスターY-11-6] 新型コロナウイルス感染症重症患者を受け持ったICU看護師の心身への影響とその対応

野口 和代, 斉藤 みさ江, 枝村 浩江 (東北医科薬科大学病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症重症患者、ICU看護師、心身への影響

【目的】新型コロナウイルス感染症重症患者を受け持ったICU 看護師が、どのような心身への影響を抱え対応しているかを明らかにし、今後の新型コロナウイルス感染症および新興感染症の重症患者に対応する看護師への支援に対する示唆を得る。【方法】質的記述的研究デザイン。研究参加者:A 病院ICU 看護師5 名。データの収集と分析:プライバシーの保てる個室で半構造化面接を行い、得られたデータを逐語録としてコード化し、継続比較的に分析を重ねサブカテゴリー・カテゴリーを抽出した。倫理的配慮:参加者に研究の趣旨、匿名性の保証、自由意志の参加、不利益はないことを文書と口頭で説明し文書で同意を得た。調査期間: 202X 年6 月~202Y 年4 月。【結果】参加者は5 名、ICU 看護師経験年数は5 ~ 13 年であった。分析の結果、新型コロナウイルス感染症重症患者を受け持ったICU 看護師の心身への影響とその対応について、184 のコードから10 カテゴリーが抽出された。カテゴリー は《》で示す。ICU 看護師は、《長時間陰圧室で重症患者処置に対応する心身の疲労》《受け持ち時や病床管理に伴う心労》《感染リスクや対策に対する懸念》《患者家族ケアに対するやるせなさ》など心身の影響を受けていた。また、《感染対策への安心感》や《周囲や国からの支援に対する感謝》の思いを得ていた。一方で《重症患者対応時に心身の影響はなし》の結果も得られた。ICU 看護師は心身の影響に対して《チームで新型コロナウイルス感染症に挑む》ことや《コロナ禍から得られたコーピング》で前向きに取り組んでいた。今後の支援として《感染対策への要望や心のケアの必要性》が挙げられた。【考察】ICU 看護師は、長時間の慣れない感染対策や面会制限があるなかで最善を尽くしながらも、重症患者に関わることによる様々な心労や、これまでできていた患者家族ケアが提供できないやるせなさなどを感じ、心身の影響を受けていたと考える。ICU 看護師が、そのような心身の影響に対応して前向きに取り組むためには、チームで新たなケアを見出すための協力体制の充実や、他部署・組織から支援を受けることの重要性が示唆された。また、今回の経験や個人の看護観をもとにしたコーピングは機能しているが、今後の新興感染症対策として、有事の組織全体での感染対策強化や心のケアなど継続的な支援が必要と考える。