第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター13群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処③~

2023年11月8日(水) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:阿久津 美代

[ポスターY-13-4] コロナ禍の病棟統合・再編における教育体制の構築

―3年間の病棟運営・管理・教育を振り返る―

村田 匡史, 飛田 陽子, 中川 美保子, 寺田 八重子, 澤井 直子, 藤井 晃子 (名古屋大学医学部附属病院)

キーワード:コロナ禍、統合・再編、教育

【目的】特定機能病院の機能を維持し通常診療を継続しながら、COVID-19 診療を行う人員確保のために2つの病棟を統合し50 床の病棟を再編した。コロナ禍での統合・再編をたどった病棟の看護体制構築と教育の取り組みを報告する。【方法】コロナ病棟新設のため2020 月5 月、耳鼻咽喉科病棟と眼科病棟を統合した。咽喉頭食道摘出術を代表とする頭頸部外科領域は、患者の命に直結する急変のリスクが高い。統合後も患者の命を守りながら安全な看護を提供するために以下の取り組みを行った。1. 統合に向けた業務調整、2. 両診療科のスタッフのペア活動、3. 両診療科の教材作成、4. メンタルケアを目的とした定期的な面談の4点である。取り組みは、重大インシデントの発生件数、リダー層の育成人数、ストレスチェックの点数の3点で評価した。【結果】耳鼻咽喉科・眼科のスタッフでペアを組み、連携を促したことで協働する関係が構築され、業務手順に沿った看護を行えるようになった。2021 年には両診療科の主要な疾患15 項目の教材を作成し、学習を促して知識の向上を図った。統合により外科領域の経験が3年未満のスタッフが70%となったが、重大インシデントの発生はなかった。2022 年は急変に対応できるスタッフ育成を重点課題として、医師による気道閉塞及び術後出血対応の学習会を実施した。実例を基にした救急シミュレーションを部署全員に実施し、「シミュレーションを繰り返し行うことで急変対応の自信となった」「耳鼻科の合併症に対する怖さがなくなった」という声が聞かれた。育成したリーダーは6名となり、出血の急変場面でコマンド機能を果たせるようになった。管理者による面談は年3回行い、スタッフ間で話し合う機会を設け、スタッフが抱えている想いを傾聴し管理者間で共有して対応を検討した。ストレスチェックの結果、上司の支援は統合直後と比較し高く、「支援を受けている」と感じるスタッフが増えた。【考察】新興感染症などの有事において急な病棟編成が生じた場合、患者に安全な看護を提供するためには業務整備だけではなく、知識・技術的な教育が必要となる。部署の専門性を明確にし、スタッフと向き合いながら教育体制を構築することが重要であることがわかった。教育と精神的支援を併せて行うことで結束されたチームが形成され、治療・看護の質を保ち、成長し続けられる組織となると考える。