第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター18群 身体抑制・身体拘束低減への取り組み

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:榑松 久美子

[ポスターY-18-4] 抑制帯を使用しているせん妄患者に対して手浴実施した反応

朴木 勇介, 村井 淳子, 竹林 美沙子, 長井 治加 (富山県赤十字病院)

Keywords:せん妄、手浴、抑制帯、反応

【目的】近年高齢化により、高齢者の入院が多く、手術や入院時の環境変化によりせん妄を生じ、抑制帯を使用する患者が多い。入院を機にせん妄が生じた患者にリラクゼーション効果があるとされる手浴を実施することでどのような反応が見られるか検証した。【方法】1. 研究デザイン:事例集積型、2. 参加者:入院を機にせん妄が生じ抑制帯を使用している9人、3. データ収集期間:2022 年5 月~ 9 月、4. 方法:研究参加者に手浴を3 回行い、手浴前中後・就寝・翌朝の発言と行動・表情を記載する用紙にてデータを記載し、コード化、サブカテゴリー化、カテゴリー化した。研究の情報はオプトアウト用の情報用紙を用いて公開した。研究への同意は自由意思であり、データの使用を拒否しても診療上の不利益は生じない、参加は撤回できる、固有名詞は全て記号に変換し匿名性を確保する、研究結果は本研究以外では使用しないことを表記した。【結果】1 回目は17 個のカテゴリー、28 個のサブカテゴリー、90 個のコードが抽出された。2 回目は19 個のカテゴリー、24 個のサブカテゴリー、90 個のコードが抽出された。3 回目は18 個のカテゴリー、21 個のサブカテゴリー、90 個のコードが抽出された。参加者の過半数で発言や行動が落ち着き「笑顔」「微笑み」が増えた。せん妄患者へ手浴を実施することで、日常的な清潔動作に対する意欲向上や心理的な安心感を与えることができせん妄緩和の手段として有効であった。【考察】1 回目は手浴のため、抑制帯を解除され、笑顔や喜びの言葉が見られたが、抑制帯を再装着することでせん妄状態に戻った。2 回目は、活動量が増え日中の疲労感が蓄積したためか、手浴の拒否など一部消極的な様子があった。患者の希望する時間帯や状況に合わせ、患者のペースに応じて手浴を行っていく必要がある。3 回目は自分で手を洗う、シャワー浴を希望するなど自発的な様子が見られた。全身状態が落ちつきせん妄状態が緩和され、抑制帯から離床センサーへ移行したことより、夜間にせん妄を起こす患者が減少したと考える。手浴に留まらず患者の希望に応じてシャワー浴などを実施し、生活リズムを整えるきっかけを作る必要がある。