第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター18群 身体抑制・身体拘束低減への取り組み

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:榑松 久美子

[ポスターY-18-6] 神経内科病棟における身体拘束最小化に向けた看護師の考え方

松田 美由紀 (東京都立神経病院)

Keywords:身体拘束、グループインタビュー、神経難病

【目的】神経難病患者に対して、身体拘束最小化に向けた看護師の考え方をインタビュー調査し、身体拘束がゼロにできない原因を探り課題を明らかにする。【方法】神経難病患者の身体拘束解除への看護師の判断・思い、行動について14名にグループインタビュー調査を実施した。インタビュー内容は研究対象者の同意を得てIC レコーダーに録音、逐語録を作成し、カテゴリー分類した。対象者へ研究の目的及び方法、研究参加に関する自由意思の尊重について説明し同意を得た。A 病院の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】身体拘束最小化に向けた考え方として、6 のカテゴリー,24のサブカテゴリー、101 のコードが抽出された。1、身体拘束解除に繋がる患者側の要因は、患者のオン・オフの差を見て外す時間を調整し[ 疾患の特徴を把握] していた2、身体拘束解除に繋がる看護師側の要因は[ 患者への罪悪感][ 拘束への抵抗][ 拘束時の葛藤][ 先輩の的確さ][ 受け持ち看護師への発信][ 看護師の勘] に分かれた3、身体拘束解除を促す看護師の介入は[ 拘束しない工夫][ 患者の状態をアセスメント][ カンファレンス] があがった4、身体拘束解除に繋がらない患者の要因は神経難病特有の症状である起立性低血圧や姿勢反射障害などの[ 疾患の影響がある] [ 予測不能] であった5、身体拘束解除をためらう看護師側の心理的要因は、神経内科病棟の経験が浅い看護師において[ 不安] の思いがあった6、身体拘束をためらう看護師側の業務的要因として[ 患者の安全優先][ マンパワー不足] を感じ拘束用具を使用することがわかった。【考察】身体拘束は患者の自由を奪い、人間としての尊厳を傷つける行為である。身体拘束ゼロの手引きに「縛らなければ安全を確保できない」と自らを納得させることにより、身体拘束への抵抗感を次第に低下させているのではなかろうか、とある。看護師の[ 不安][ 患者の安全優先][ マンパワー不足] というカテゴリーの背景には転倒の怖さや、やむを得ないという自分達の看護への諦めを納得させてきたと考える。身体拘束は、患者の安全を守れたとしても精神的苦痛や筋力低下などQOL 低下に繋がる。患者の尊厳と安全、QOL を守るには[ 疾患の特徴][ 予測不能] を把握し、患者の状態をアセスメントする力をつける。更にカンファレンスで看護の工夫を話し合い、身体拘束を解除できた事例を重ねていくことが重要である。