第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター2群 ワークエンゲージメントを高める②

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:鈴木 久美子

[ポスターY-2-2] 訪問看護師が長く働くためにできること

山本 一美1, 椿 裕子1, 上野 沙織1, 奥田 由美2, 三上 聡2 (1.東香里病院訪問看護ステーション, 2.東香里病院)

Keywords:訪問看護師、人材定着、退職願望

【目的】A 訪問看護ステーション看護師の平均勤続年数は、3.7 年、利用者の平均利用期間5.2 年であり看護師離職に対する不安の声もある。看護の質維持のため看護師が長く働くためにできることを明らかにした。【方法】半構造化面接により、社会・組織・個人のイベントによる対象者2 名の感情と退職との関係を半構造化面接によるデーター収集し質的に分析した。本研究の目的と内容を職員に説明し書面にて同意を得た。本研究はB 病院倫理委員会での承認を得た。【結果】面接における質問内容は1 コロナ過 2 訪問看護ステーション閉鎖の話 3 退職を考えた時 4 退職願望払拭理由 5 退職者についてとした。結果1「感染対策のことで辞めた看護師の気持ちも、組織のルールもわかる」「1 人辞めて、後に続かなくてよかった」2「ノルマが増えることも仕方ない」「正しいことを積み重ねてきた場所だから大丈夫と思った」3「苦情が続いて、経済的に困ってないし周りに迷惑がかかるなら、辞めていいと思った」「ベテラン看護師が委縮していて、自分の10 年後が想像できなかった」「介護で、迷惑をかけていると思った」「しんどそうな管理者が心配で、利用者を連れて一緒に辞めようと思った」4「訪問看護が好きだから、続けたいと思った」「ベテラン看護師は、現場では生き生き働き、利用者の信頼を得ていて利用者とのつながりを感じた」「この場所がすでに大事な場所になっていた」「相談するたびに大丈夫って言ってくれ甘えようって思えた」「自信過剰になっていた自分に気づいた。利用者との約束を破ったかもと反省した」5「合う合わないで、辞めていくのはもったいない」「ここでは、正直でないと続けられない」が考察された。【考察】退職願望はコロナや組織の問題そのものよりも「迷惑かけている」「不安」「心配」という私的感情である。「訪問看護が好き」「利用者を大事に思っている」ことが、退職願望を払拭する一番の理由であり、この対象者2 名については、組織風土の理解が高いことが明らかとなった。加えて過去の退職者は、正当性やルールを前面に出すことで苦悩があり、先行研究にある「居場所を確立できるよう私的感情を受け止め支援する」ことが考察された。看護師が長く働くためには、「看護の楽しさ」を実感できる継続的な支援と、看護師の「感情」を理解しながら「正当性」や「ルール」と絡ませ伝えていくことが重要であると示唆された。