第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター20群 高齢者、認知症の人の看護②

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:大柴 幸子

[ポスターY-20-1] 認知症患者と関わる看護師の困難感軽減に向けた取り組み

―パーソン・センタード・ケアの導入を通して―

熊田 成美, 高橋 さおり, 阿部 桃香 (鶴岡市立荘内病院)

Keywords:認知症患者、看護師、困難感、パーソン・センタード・ケア

【目的】A 病院B 入院棟における入院患者の約6 割が「認知症高齢者の日常生活自立度」レベル3a 以上と判定されている。看護師は、急性期患者の看護や急変対応を行いながら認知症患者の対応も同時に行わなければならず、精神的負担が大きい。B 入院棟看護師が認知症患者と関わる際、どのようなことに不安や困難を感じているか調査したうえで、パーソン・センタード・ケア(以下PCC)について学習し、認知症患者への適切な関わり方を理解することが困難感の軽減に繋がるか検証した。【方法】困難感尺度を用いてB 入院棟看護師24 名に5 件法でのアンケートに自由記載を追加し調査を実施した。PCC についての学習会・「認知症高齢者の尊厳を維持するための認知症看護実践能力育成プログラム」(以下e ラーニング)の一部抜粋を受講し、看護ケアを実践した。その後再度同内容のアンケート調査を実施し、学習会前後での困難感の変化を比較し分析した。分析方法:単純集計後、学習会前後での変化を統計分析し、平均値の差の比較にはt検定を行い、p < 0.05 を統計的有意とした。倫理的配慮:調査は無記名とし、学習会前後で困難感尺度の変化を確認するため個人をランダムに番号化した。調査協力は自由意志であり、調査用紙回収をもって研究参加の同意を得た。【結果】学習会前後で比較すると、BPSD に関する項目で学習会前「困難に思う」5 割から学習会後「少し困難に思う」5 ~ 3 割程度へ困難感が軽減した。「医師と看護師が患者に対する治療方針を共有できず不安である」という調査項目では、学習会前後ともに「困難に思う」「少し困難に思う」が7 割を占め、困難感に変化は見られなかった。有意水準5%とした際のt検定の結果、t(14)=3.29、p=0.005349 となり、有意差が認められた。【考察】PCC 導入により看護師は認知症患者への接し方を理解し、その人に合ったケア方法を検討し実施できるようになったため、BPSD に対する困難感が軽減したと考えられる。一方今研究での学習内容はPCC の基本的な知識とBPSD の対応が中心であり、チーム医療について学びを深めることができなかった。そのため学習会前後で困難感に変化が見られなかったと推察する。チーム医療には医師、看護師、認知症ケアチーム等との連携が不可欠であり、医師や多職種と治療方針を共有する機会を増やしていくことが今後の課題である。