[ポスターY-21-5] 高齢者の自立に向けたストーマケアにおける看護師の困難感
Keywords:高齢者、ストーマケア、看護師の困難感
【目的】病棟看護師を対象に高齢者のセルフケア自立に向けたストーマケアにおける困難感を明らかにする。【方法】R4年8 月にストーマケアの経験を有する消化器外科病棟の看護師対象に高齢者のストーマケアにおける困難感等についてグループインタビューを行った。対象者へ事前に倫理的配慮を口頭、文書で説明し同意を得た。分析は逐語録を作成し内容分析を参考にコード化、カテゴリー化した。『』はカテゴリー、《》はサブカテゴリー、〈〉はコード、()はコード数を示す。【結果】対象5 名(看護師経験平均年数14.4 年、消化器外科看護平均年数6.6 年)、面接時間は64 分であった。ストーマケアにおける看護師の困難感は2 カテゴリー、4 サブカテゴリー、18 コードが抽出された。看護師は〈加齢による聞こえづらさからくる理解不足〉〈手指の巧緻性の低下による面板カットの難しさ〉〈皺や弛みのある皮膚に面板を貼付する難しさ〉〈せり出した腹部によるストーマ下部の見えにくさ〉等の《身体機能の衰えから時間を要する手技の取得》(5)と〈ストーマの変化に合わせた面板のサイズの変更〉、〈ストーマ周囲の自覚症状がない皮膚トラブルの見落とし〉等の《ストーマの変化に応じた判断が求められるセルフケアの指導》(3)からなる『身体機能と判断力の衰えを踏まえたセルフケアの指導』に困難感を抱いていた。また〈ストーマを認識できない認知症患者への関わり〉〈標準化できない目標の設定の難しさ〉(4)等の《標準的な入院経過を辿らない高齢者》と〈退院後、気がかりを相談できない高齢者への関わり〉、〈退院後、過剰な装具注文で変更できない装具の制限〉〈退院後も必要なセルフケア能力の評価とそれに応じた装具選択〉(6)等の《退院後も必要なストーマケアのサポート体制》からなる『入院時からケアの継続性を視野においた家族を含めたサポート体制』の困難感があった。【考察】高齢者のストーマケアに関する先行研究では、セルフケア能力の差異や術後せん妄により標準的な経過を辿らない難しさが報告されており、本研究もこれを示唆する結果であった。今後、入院時から退院後の生活を見据えた医療・介護による支援体制やセルフケア指導の標準化を図るためにチーム単位での指導の在り方を検討する必要がある。