第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

ポスター

ポスター22群 精神看護

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:中澤 範子

[ポスターY-22-1] 精神科病棟における誤嚥性肺炎予防の取り組み

―精神科用誤嚥性肺炎予防チェックシートを用いた看護ケアの実際―

対比地 裕子 (自治医科大学附属病院)

Keywords:精神科病棟、予防、誤嚥性肺炎

【目的】精神科入院患者は精神状態や薬剤の影響もあり誤嚥性肺炎を起こしやすい。過去に誤嚥性肺炎を発症した患者が年間7 ~ 8 件おり、入院目的の精神疾患治療が遅延する状況があった。そこで独自に精神科用誤嚥性肺炎予防チェックシートを作成し、2018 年から導入し、導入後は1 ~ 2 件と減少した。本研究では、チェックシートで誤嚥性肺炎ハイリスク状態と判断した患者の看護ケアを明らかにしたので報告する。【方法】2020 年6 月1 日から2021 年6 月30 日までにA 病院精神科病棟でチェックシートを用いた患者74 名のうち誤嚥性肺炎ハイリスク状態と判断した19 名を対象とした。カルテから(1) 基本属性 (2) チェックシートの情報 (3) 看護記録から誤嚥性肺炎予防に関する情報データとし、看護師の判断や看護ケアを1)食事・嚥下に関して2)口腔ケアに関して3)内服に関して4)行動やリハビリに関して5)他職種とのカンファレンスに分けて分類した。倫理的配慮は、データは匿名化しホームページに研究目的、意義、方法、個人情報保護の配慮を表示した。院内の倫理員会の承認を得て実施した。【結果】対象者19 名のうち女性は10 名、平均年齢63.8 歳、疾患は、統合失調症6 名、双極性気分障害4 名、うつ病4 名、その他5 名、平均入院期間52 日、精神運動興奮もしくは精神運動制止ありが5 名、身体拘束実施8 名、抗精神薬、睡眠剤など多剤併用15 名であった。結果、1)食事・嚥下に関しては、食事摂取状況やむせを観察し食事のセッティング、介助、咳払いの促し、食事形態の変更を多く行っていた。2)口腔ケアに関しては、歯磨きのセッティング、見守り、声掛け、促し、スポンジブラシを活用した口腔ケアを多く行っていた。3)内服に関しては、嚥下状況の観察から内服ゼリーの活用、薬剤形状の変更、内服時の声掛けが多く行われていた。4)行動やリハビリに関しては、意識状態、反応の確認、離床を促すための声掛け、ADL 拡大支援を多く行っていた。【考察】チェックシートを使用し早期から看護ケアを行うことは誤嚥性肺炎予防に有効であった。多く行われた看護ケアは誤嚥性肺炎予防に必要であったと考える。今後もチェックシートを継続する必要がある。さらにはハイリスク患者の点数の高低差から詳細な特徴を見出し個別的なケアを検討することが次なる課題となる。