第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター22群 精神看護

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:中澤 範子

[ポスターY-22-4] 精神科看護師が看護学生に求める統合失調症の患者理解

池田 美紀, 細谷 優 (東京都立豊島病院)

Keywords:統合失調症、患者理解、臨地実習、看護学生、精神科病棟看護師

【目的】統合失調症を抱えた患者は個々により症状が違い周囲に理解され難く、看護師も患者を理解する事は容易ではない。はじめて実習を受け入れ指導する看護師が、統合失調症を抱えた患者を受け持つ看護学生に対して、どのように理解してほしいと思っているのか、その理由を明らかにしたいと考え本研究の目的とした。【方法】対象者は経験年数2 年目以上で同意が得られた看護師である。インタビューガイドを作成し面接時にIC レコ-ダ-で録音し逐語録を作成する。研究者が所属する対象部署となるため強制性が働かないように十分に注意する。【結果】指導する看護師が求める学生の患者理解については偏見と尊厳の理解、個別性と患者背景の理解に分けられた。一つ目は統合失調症の症状に対しての理解ができないことで患者自身を怖いと思わず一人の人として患者を受け入れてほしいことであった。二つ目は患者の症状は個々に違い対応方法も異なるため、患者に適した関わりが必要になるということが語られた。【考察】学生時代に患者に偏見を持っていた看護師は、統合失調症患者の看護ケアを通して日常会話から患者の思いや考えを知ることが出来た。看護師が患者に尊厳を持った関わりをすることで、一般症の患者と大きな違いは感じなかった。看護師は患者との関わりの中で患者の見え方や考え方に変化が現れ、偏見と尊厳の理解に影響があったと考えられる。実際に患者と関わる経験の少ない学生に対して看護師が自身の経験を学生に伝え、偏見についての思いを共有する事は、患者を理解する上で必要な指導の一つであると考える。また、看護師が患者の個別性と背景の理解を語る事は、個々の患者の対応方法に悩み辛い体験から患者を一人の人として受け入れる大切さを理解したと考えられる。看護学生は2 週間の短い実習期間での患者理解は難しい。看護師が患者の個別性を理解し対応することや看護ケアを実践している場面を学生と共有することも大切であると考える。今回の研究は8 名と少数の看護師が対象のため研究の限界であるが、看護学生が実習を通して患者の尊厳や個別性を大切にしながら患者を理解する学びが必要だと考えている事が明らかになった。