[ポスターY-22-5] 児童精神科病棟に入院する患児に対する看護師の関わり方の検証
Keywords:児童精神科、記録、看護師、関わり方
【目的】児童精神科に入院する患児に対する看護師の関わり方について明らかにし、今後の看護の示唆を得る。【方法】対象:X 年9 月21 日~ X + 2 年12 月31 日にA 病院児童精神科病棟に入院し、異常行動チェックリスト日本語版(以下ABC-J)で行動障害と判断される基準を満たし、かつ入院中にABC-J 得点の低下がみられた患児17 名とその患児の記録を記載した看護師20 名。知的障害児は除外する。分析方法:看護記録から抽出した語句をKH Coder フリー版を用いてテキストマイニングを行った。語句の出現頻度上位60 語について共起ネットワークを作成し、看護記録と照らし合わせサブグラフにネーミングを行った。倫理的配慮:対象者及び患児の保護者に口頭・書面で説明し同意を得た。【結果】総抽出語数は44964 語、単語種別数は3255 語であった。共起ネットワーク図では『気づきを導く対話』『疾患や発達特性把握のための観察』『落ち着いた環境の提供』『連続性のある関わり』『不安軽減のための薬剤使用』の5 つのサブグラフが抽出された。頻出単語は〈看護師〉〈話す〉〈聞く〉〈患児〉〈他患児〉〈伝える〉〈行動〉〈気持ち〉などであり、その多くは『気づきを導く対話』のサブグラフに見られた。【考察】最も単語数の多かった『気づきを導く対話』の中で〈話す〉〈聞く〉の単語が頻出していた。看護師が患児の話を聞き、気持ちや思いを言語化して伝えることにより、患児が自分の気持ちに気づけるよう援助していた。次いで〈患児〉〈他患児〉〈伝える〉が頻出していた。看護師が患児間のトラブルの調整役となり、コミュニケーションスキルを身に着ける手助けをし、成長に寄り添いながら生活全般の援助を通して「育てる」意識を持っていたと考える。患児が社会生活に適応が出来るように病棟自体を一つのコミュニティとして捉え、看護師は患児の発達段階や場面に合わせ、医療者としての側面と共に発達段階にある患児の親代わりや友人、指導者などの様々な役割を担い、多くの時間を患児との関わりに費やすことで、看護師は患児の人格形成において治療的な役割を果たしていた。今回、児童精神科看護師は対話や観察・調整を重視していることが明らかとなった。今後は、看護師が患児の一番の理解者・支援者であると念頭に置き、患児の身近に寄り添う者として、患児が社会へ歩みを進めていけるよう関わっていく必要がある。