第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター24群 住み慣れた地域に戻ることへの支援②

2023年11月8日(水) 15:45 〜 16:45 ポスター会場 (G1-G4)

座長:室岡 真樹

[ポスターY-24-3] 脳疾患後の高齢患者家族が抱く思いの変化の実際

西部 真由美1, 加藤 あや子1, 古田 祐世1, 菅原 隆成2 (1.関中央病院, 2.朝日大学保健医療学部看護学科)

キーワード:回復期病棟、期待、在宅移行支援、退院後の生活調整、家族の思い

【目的】急性期から回復期を経て退院後の生活へと患者の状態が変わっていくと同時に、家族の思いも大きく変化する事が考えられる。その思いに添った退院支援の検討の一助とするため発症から退院後までの家族の思いの変化を明らかにする事を目的とし研究を行った。【方法】研究デザインは質的研究で、対象者は退院支援を受け自宅退院された2 組の患者家族である。半構造化インタビュー調査を行い、内容について逐語録を作成し意味内容の類似性により分類し、家族が抱く思いの変化を明らかにした。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て行い、対象者に対して説明し自由意思に基づく同意を得た。【結果】逐語録により56 のコード、23 のサブカテゴリーが抽出された。発症から急性期病院入院時「脳血管疾患や後遺症に対する衝撃」「患者の状態が分からないことが不安」、回復期A 病院転院時「回復期病棟への期待」、回復期病棟入院中「患者の状態を実際に見て安堵」「入院中に退院後の生活を想像することは困難」「入院日数の感覚は患者と家族で違う」「院外リハビリを実施することで退院後の生活をイメージ」、退院後「退院後の生活に対する不安」「退院後も患者から目が離せない」「患者に出来る限りの自立を希望」と11 のカテゴリーが生成され発症から退院後までの間4 つの段階で家族の気持ちに変化があることが分かった。【考察】発症時から急性期病院入院時は、症状に対し衝撃を受け、現在の状況を把握することが精一杯であり、先の事は考えられない状態であるのではないかと考えられた。回復期A 病院転院時、麻痺や後遺症が残存する説明があるが、説明内容よりも病状回復・後遺症の回復・生活の回復など回復と言う文字の通り以前の生活に戻れるという期待が込められていることが明らかになった。先の生活まで考えられない中、「回復期病棟」という言葉に対する期待は大きいと考えられた。回復期病棟入院時では、退院後の生活を想像するのは困難である。実際に患者を見て安堵し、院外リハビリで自宅へ行く事で今後の生活をイメージしており、実際の動きを見てなんとか生活出来る事を期待するのではないかと考えられた。退院後では家族の生活も変化していくことで、不安は継続されていると考えられる。患者から目が離せないことで介護者の疲労が増し、患者の自立やADLの向上を願うようになるのではないかと考えられた。