第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター25群 住み慣れた地域に戻ることへの支援③

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:吉村 浩美

[ポスターY-25-2] 緊急によるペースメーカー植え込み術を行った後期高齢患者の同居家族が抱く思い

佐野 まいむ1, 榎本 佳子2 (1.順天堂大学医学部附属静岡病院, 2.順天堂大学保健看護学部)

Keywords:ペースメーカー植え込み術、退院支援、後期高齢者、同居家族、退院指導

【目的】本研究は、緊急によるペースメーカー植え込み術を行った後期高齢患者の同居家族がともに生活する際の思いについて明らかにすることを目的とした。【方法】質的記述的研究。データ収集期間は2020 年9 月~ 2021 年3 月。研究対象者は2 名とし、施設内の個室にて半構成的面接を実施した。調査内容は、「入院後植え込み術が決定してから退院が決定するまでの時期に家族が抱いた思い医療者に求めること」についてインタビューを実施した。インタビューの平均時間は20 分だった。分析は、語られた文脈を抽出し、要約をコード化し、類似する内容を集め、抽象度を高めながら、サブカテゴリー、カテゴリーを命名した。カテゴリーは共通性を基に5つに分類した。倫理審査委員会で承認の得られた同意説明文書を研究対象者に渡し、文書及び口頭による十分な説明を行い、研究者の自由意思による同意を文書で取得した。本研究は、所属する倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】緊急によるペースメーカー植え込み術を行った後期高齢者の主介護者が抱く思いについて、43 のコードから5のカテゴリーと20 のサブカテゴリーが命名された。主介護者は、緊急的な場面を経て「疾患の理解と受け止め」を行いながらも、「ペースメーカー生活への不安」を抱えていることが明らかとなった。また、「ペースメーカー生活への理解」が進むと「退院後の療養環境を整える」ことも考えはじめ、「被介護者の日常と健康を把握」しながら、今後の生活を考えていることが明らかとなった。【考察】緊急によるペースメーカー植え込み術を行った後期高齢患者の同居家族は、ペースメーカー植え込みという医療処置を理解するだけでなく、ペースメーカー植え込み術を行った被介護者と生活を続けなければならない。高齢者にとって、ペースメーカー植え込み術を理解することは容易ではなく、その後の生活は同居家族にかかっているため、理解しながらも不安もあり精神的な負担があることが明らかとなった。一方で、被介護者に対して、ペースメーカー植え込み後も療養環境を整え日常と健康を把握しながら同居家族として支援していきたいという思いも明らかとなった。被介護者個々の日常生活に照らし合わせ、不安や危険を排除することで、安心した日常生活を送るための支援となり、退院後の療養環境を整えることが同居家族の負担軽減につながることが示唆された。