第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター25群 住み慣れた地域に戻ることへの支援③

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:吉村 浩美

[ポスターY-25-6] 食道がん術後患者の胃管瘻管理の困難だった点

―退院後の食道がん術後患者の胃管瘻管理の実際―

石井 美紀, 松井 佐知子, 原田 由佳, 岩井 珠美, 坂上 遥香, 石井 由佳里, 小野寺 美由紀 (群馬大学医学部附属病院)

Keywords:食道腫瘍、胃管瘻、自己管理、術後管理

【目的】食道がん術後患者は食道全摘術後に挙上した胃管に胃管瘻を造設するため、入院中に胃管瘻の管理方法や白湯・栄養剤の注入方法などの指導を要する。より患者に即した指導ができるよう、胃管瘻管理の困難だった点を明らかにする。【方法】研究の承諾を得られた、A 病院に通院・入院中の食道全摘術後で胃管瘻を留置し1 ヵ月から1 年程度経過した患者とその家族11 組に30 分程度の半構成的面接を行った。胃管瘻の管理が入院中と同じように行えたか、胃管瘻管理でどんな点に困ったかを中心に自由に語ってもらい、対象者の承諾を得て面接内容をIC レコーダーに録音し逐語録を作成し、コードを抽出した。類似性のあるコードごとに分類しサブカテゴリーを抽出し、カテゴリー化し分析を行った。対象者に研究の参加は自由であり参加を拒否しても不利益は生じないことを、文書を用いて説明し同意を得た。収集したデータは、個人が特定されないようにした。【結果】分析の結果「自宅での胃管瘻管理を可能にさせる点」、「自宅での胃管瘻管理の困難だった点」、「退院後の食事量・体調の変化」の3 つのカテゴリーが抽出された。「自宅での胃管瘻管理を可能にさせる点」は「胃管瘻管理の正しい手技の理解」、「白湯・栄養剤注入時の工夫」、「家族の協力」、「自宅での胃管瘻管理の困難だった点」は「ドレッシング剤貼り替えの難しさ」、「ドレッシング剤のトラブル」、「胃管瘻管理の不安」、「間違った胃管瘻の管理」、「清潔ケアの減少」、「胃管瘻留置による不快感」、「刺入部トラブル」、「退院後の食事量・体調の変化」は「栄養剤注入に伴うトラブル」、「注入量の減少」がサブカテゴリーで抽出された。【考察】胃管瘻管理の手技で困った点は、ドレッシング剤の貼り換えが難しかった点と、入浴などによりドレッシング剤が剥がれた点が挙げられたが、家族の協力により自宅管理できた。また、入院中に胃管瘻管理の正しい手技を獲得できたことで、退院後も正しく管理できた。一方で貼り替えの煩雑さから清潔ケアが疎かになり、刺入部トラブルの一因となった。さらに退院後の経口摂取量の増加や栄養剤注入に伴う下痢などの症状が、胃管瘻からの注入量の減少に繋がった。これらのことから、胃管瘻管理においてドレッシング剤の貼り換え手技指導を見直し、患者とその家族が正しい手技を獲得することで、退院後もトラブルなく管理できることが示唆された。