[ポスターY-26-2] A 病院の慢性疾患看護外来の現状と課題
Keywords:看護外来、慢性疾患患者看護、在宅療養支援
【目的】A 病院の慢性疾患看護外来の看護の内容と看護師の体制から看護外来の運営上の課題を明らかにする。【方法】本研究における慢性疾患看護外来(以下、看護外来)とは、糖尿病、心不全、腎臓病患者を対象とした看護外来を示す。対象:看護外来患者一覧表に記載された情報、看護師の体制。調査期間:2022 年4 月~ 2023 年3 月、調査方法:看護外来患者一覧表から疾患名と看護の内容、担当した看護師とその看護師の資格の有無、勤務状況を調査した。倫理的配慮:A病院倫理審査委員会の承諾を得て、看護外来患者一覧にある情報や看護師の情報は個人が特定できないように配慮した。【結果】2022 年度看護外来受診患者数は延べ914 件、糖尿病が889 件、心不全が25 件、腎臓病0 件だった。看護の内容は、糖尿病足病変予防27 件、インスリン自己注射指導67 件、糖尿病透析予防16 件、血糖コントロール不良(初回含む)患者・家族対応404 件、インスリンポンプや持続血糖測定器などの器具機材に関すること204 件、高齢者のサポートの調整51 件、妊娠糖尿病120 件、心不全患者の体調管理支援25 件だった。診療報酬を算定しているのは、糖尿病足病変予防と自己注射指導、透析予防の11 件だった。看護外来は、看護外来所属の慢性疾患看護専門看護師1 名と他部署所属の日本心不全療養指導士2 名、日本腎臓病療養指導士2 名で運営している。他部署所属の療養指導士は、自部署で勤務しながら予約がある時のみ看護外来に来ることにしており、療養指導士が対応できない場合は看護外来所属の慢性疾患看護専門看護師が対応した。【考察】看護外来は診療報酬が算定できる糖尿病患者を対象として開始したため糖尿病患者数が多かったが、看護の内容を見てみると診療報酬に関連したものは1 割に過ぎず、その他の9 割は、糖尿病と共に暮らすための自己管理支援や在宅療養支援に関する内容であった。また、心不全患者では心不全と共に暮らすための体調管理への支援に関する内容であったことから、看護外来は慢性疾患を持つ人が病気や体調、生活のことを相談できる場としての役割が求められていることが明らかになった。現在の看護外来は、循環器や腎臓病患者数が少なく、慢性疾患を持つ多くの人が相談できる場となっていないと考える。今後、看護外来での対応件数を増やすため、看護外来で対応する看護師の体制を整えることが課題である。