第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター26群 住み慣れた地域に戻ることへの支援④

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:片山 陽子

[ポスターY-26-3] 慢性疼痛患者へ痛み日記を用いた面接の効果

東 幸恵, 佐々木 直子, 佐藤 美幸, 石川 美帆子 (十和田市立中央病院)

キーワード:ペインクリニック外来、慢性疼痛、痛み日記、面接

【目的】ペインクリニック外来通院中の慢性疼痛患者から破局的思考と思われる発言を聞くことがあり、心理面でのケア不足を感じていた。そこで痛み、破局的思考および生活の質の改善のために、独自に作成した痛み日記を用い、看護師が面接を行うことで効果があるか明らかにする。【方法】慢性疼痛患者3 名を対象に、2022 年1 月~ 5 月の期間で事例研究を行った。痛み日記は、日付・天候・行事・痛みの程度・出来事・感情・行動・睡眠時間に「チャレンジ項目」を加え作成した。看護師の面接は、診察前(約3 週毎、計6 回、約30 分)に行い、痛み日記の内容を1 項目ずつ確認しながら対象者の語りを傾聴した。痛みの程度(VAS)、破局的思考(PCS)、生活の質(EQ5D-5L)それぞれの質問紙評価を日記開始前と3 ヶ月後に実施し単純比較した。倫理的配慮は、本研究への参加は自由意思とし同意書を得た。また個人が特定されないようにデータ処理した。【結果】A 氏は、VAS40 から30 へ減少、PCS19/52 点から11/52 点へ減少。EQ5D-5Lは0.822752 と変化なかったが健康感35 から64 へ増加し改善があった。「自分を客観的にみられるようになり、ストレスや痛みを軽減する方法を考えるようになった。」と発言があった。B 氏は、VAS70 から35 へ減少、PCS38/52 点から31/52点へ減少、EQ5D-5L0.360189 から0.736627 へ増加、健康感70 から83 へ増加し、全ての項目で改善した。「チャレンジすることがあると頑張ろうと思う。前向きになった。」と発言があった。C氏は、VAS52 から49 へ減少、PCS27/52 点から11/52 点へ減少、EQ5D-5L0.602498 から0.667149 へ増加、健康感52 から70 へ増加し、全ての項目で改善した。「日記や看護師さんと話すことで、痛みはあっても他の楽しみをみつけようと思うようになった。」と発言があった。【考察】痛み日記により、自分自身を客観視し、どうしたら痛みが改善するか考えるようになったことが、痛みの軽減と生活の質の改善につながったと考える。またチャレンジして得た自己効力感は破局的思考の改善に効果があったと考える。看護師が傾聴し共に考えることは、面接時の言葉だけでなく、痛み日記の書面での思いや感情を共有でき、より深く理解してもらえるという安心感につながったと考える。