第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター27群 健やかに生まれ育つことへの支援①

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:大瀬 富士子

[ポスターY-27-1] EPDS を用いた母親の実態調査

宇野 江依子, 朝岡 みゆき, 石塚 慶子, 須藤 早和子, 森 香織, 十河 恵里子 (鈴木病院)

キーワード:母親、産後健診、EPDS

【目的】エジンバラ産後うつ病自己評価票(以下EPDS)を用いて実態調査を行い、高得点者の影響要因を明らかにすることである。その結果、母親支援の強化につなげることができると考えた。【方法】産後2 週間健診及び1 ヵ月健診のEPDS 得点を診療記録から後方的にデータ収集をした。分析方法は記述統計後に、2 週間健診のEPDS 高得点群(9 点以上)とEPDS 低得点群(9 点未満)の2 群間で比較検討した。所属施設の承認を得て実施し、匿名化したデータは鍵のかかる場所に厳重に保管し、学会等で発表後は完璧に消去する。利益相反はない。【結果】A 病院で健診を受けた302 人(初産婦122 人、経産婦180 人)が対象であった。全母親のEPDS得点は2 週間健診(平均値2.95 ± 3.35 点)より1 ヵ月健診(平均値2.01 ± 2.26 点)は低値となった。2 週間健診EPDS 高得点群(以下高得点群)の21 人(6.95%、平均値11.9 ± 3.22点)は、1 ヵ月健診(平均値6.24 ± 4.97 点)では有意に低値となった。高得点群の21 人の中で1 ヵ月健診に2 週間より高値を示したものは3 人であり、その他の18 人は低値を示し、1 人を除き9 点以下となった。2 週間健診EPDS 低得点群(以下低得点群)の281 人(93.05%、平均値2.28 ± 2.21 点)は、1 ヵ月健診(平均値1.69 ± 2.07 点)では有意に低値となった。281 人の中で1 か月後に2 週間より高値を示した母親は5 人であった。影響要因は、分娩回数を除き、年齢、分娩様式、出血量、児の栄養方法、母の精神疾患、支援者などでは有意な差は認めなかった。【考察】杉下(2017)は、産後EPDS得点は6.2 ± 4.7 点、9 点以上は22.2%、塩谷・我部山(2018)は、産後1 ヵ月EPDS 得点は3.27 ± 2.26 点、9 点以上は16.6%と報告し、本研究では高得点群が少なかった。特定妊婦や母体合併症が少ないローリスク妊婦が多い施設であることが関与していると考えられる。また、EPDS 得点への影響要因との関連は認められなかったことから、どの母親もEPDS 得点が高くなる可能があるといえるため、支援者が必要な支援を実施しているか把握する必要がある。高得点者には、健診後、心理外来や院内施設「母と子のふれあい広場」を紹介しているが、さらにメンタルケアを支える体制作りが望まれる。