第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター27群 健やかに生まれ育つことへの支援①

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:大瀬 富士子

[ポスターY-27-3] 重症心身障害児者病棟における腹部症状に対する看護師の臨床判断

鈴木 千鶴, 秋元 みゆき (東京都立北療育医療センター)

Keywords:重症心身障害者、臨床判断、体調変化、看護、腹部症状

【目的】重症心身障害者(以下、重症者)は、体調の変化を言語化し表出することが困難なため、発見が遅れる可能性がある。重症者に関わる看護師が患者の腹部症状をどのように観察し臨床判断しているか明確にし、体調変化の早期発見をすることが支援につながると考えた。【方法】アンケート及び半構造化面接によるインタビュー実態調査研究。A 病院の倫理委員会の承認を得た後、事例とアンケートを配布(調査対象者100 名、回答率74%)5 設問と年齢、看護師歴を収集し、単純集計、クロス集計を行った。インタビューは回答者から同意を得た3 名に実施し、研究の主旨、参加の自由、個人情報の保護等について文章および口頭で説明し同意を得た。【結果】事例からイレウスの判断を導き出したA 群(32名)、泌尿器系疾患を導き出したB 群(23 名)、イレウス・泌尿器科系疾患の両方を導き出したC 群(19 名)だった。イレウスの判断材料は、既往歴(44%)、腹部の違和感(44%)、腸蠕動音の低下(19%)、泌尿器科検査は異常がない点(19%)が多かった。体調変化の観察項目はすべての群で「何か普段と違うと感じる様子」(64%)が最多だった。インタビューではイレウスを導き出した判断材料として、既往歴、患者の背景、イレウスのリスク、泌尿器科検査で異常がない点と回答があった。重症者の体調変化の観察項目については、普段と違う様子から体調変化に気が付く、他スタッフから最近の様子の情報を確かめる、という回答が得られた。【考察】イレウスの判断を導き出した看護師の多くは、重症者の「何か普段と違うと感じる」という気付きから始まり、客観的データから泌尿器疾患を否定すると、考えを引き返し他の疾患を検討していた。明確なイレウス症状がない非典型例であっても、重症者の身体的特徴や既往歴、起こりやすい事象、背景も判断材料とし、本人の訴えや行動といった判断材料だけでなく、様々な方面から臨床判断を導き出し、イレウスのリスクが非常に高いということを常に想定したのではないかと考える。インタビューの結果から、症例の情報から既往歴、重症者のリスクの高い疾患、脆弱性を経験上十分理解し、頭の中で系統図を作り、全体像からアセスメントしていたと考える。重症者の日常の様子、特徴や背景に加え、リスクの高い疾患を知識として学び、経験知の蓄積と情報交換がケアの質の向上につながると考える。