[ポスターY-28-1] 低出生体重児と関わる医療機関看護師と地域保健機関保健師におけるコミュニケーション・スキルと地域連携の関連性の検討
Keywords:コミュニケーション・スキル、低出生体重児、地域連携、看護師、保健師
【目的】本研究は組織で他者と協働する能力として対人関係スキルに着目し、医療機関看護師と地域保健機関保健師の対人関係スキルの違い、また対人関係スキルと地域連携の良さの関係性を明らかにすることを目的とし、双方での在宅移行支援強化に繋げることを研究意義とした。【方法】低出生体重児と関わるA 県看護師193 名と保健師154 名へ郵送での無記名自記式質問用紙で調査を行い、看護師139 名、保健師145 名から回答を得た。質問項目は、対象者の基本属性(12項目)、コミュニケーション・スキル尺度「ENDCORs」の対人スキル(自己主張、他者受容、関係調整)、医療介護福祉従事者間の連携を評価する「医療介護福祉の地域連携尺度」(6 下位尺度)、地域活動に関するソーシャルキャピタルの項目とした。2 つのグループ比較を対応のないt 検定、Mann-Whitney 検定で行い、2 つの尺度項目をPearson の積率相関係数を用い相関関係を確認後、地域連携尺度を従属変数、対人スキル・基本属性・ソーシャルキャピタルを独立変数とし、全対象と看護師・保健師で層別化して重回帰分析を行った。なお、対象者へは説明同意文書を用い、同意が得られた上で回答を得た【結果】質問項目に不備のない看護師138 名、保健師142 名を分析対象とした。尺度平均得点では、対人スキル≪他者受容≫で有意な関連があった(p < 0.001) 。また看護師よりも保健師の方が全ての地域連携尺度得点と≪他者受容≫が高く、両グループで≪他者受容≫が≪自己主張≫よりも高かった。看護師では≪関係調整≫が高いほど地域連携尺度得点が高くなる一方(β =0.39、 p=0.003)、≪他者受容≫が高いほど地域連携総合得点が低くなった(β =-0.275、p=0.04)。保健師では≪他者受容≫が高いほど地域連携尺度の≪他職種役割理解≫が低くなった(β =-0.25、 p=0.049)。【考察】看護師は個人の関係調整能力の力量により連携に差が出やすく、保健師は地域診断を通し、システムとして連携を推進していると考えた。また双方の≪他者受容≫が≪自己主張≫より高いことは、看護職の傾聴技法によるものと考えられた。看護師は施設全体として地域連携能力を高めるための機会が必要であり、保健師は対人スキルのバランスが他職種理解や地域連携の認識の差を減らすことにつながることが示唆された。