[ポスターY-29-1] 病棟看護師の転倒転落予防ケア実践の現状
Keywords:転倒、転落、アセスメント、情報、看護ケア
【目的】病棟看護師の転倒転落アセスメント及び予防ケア実施の実態を把握する。問題点を抽出し、解決のための教育的介入を検討する。【方法】入院病床(NICU・GCU・ICU を除く)を有する部署に所属する看護職員の内、日常業務で入院患者の生活援助を行わない者を除く408 名を調査対象とした。調査協力依頼文書と無記名式のQR コード付き調査票を配布し、部署毎に設置した回収袋、看護部共有スペースに設置した回収BOX、WEB のいずれかを用いて回答を得た。転倒転落リスクに関するアセスメント実施状況、転倒転落リスクが高いと判断した患者への転倒転落予防ケアの実施状況について、各項目の実施率を算出した。倫理的配慮は、調査協力の有無に関わらず不利益は生じないこと、及び個人情報の保護について文書で説明し回答をもって同意を得た。【結果】調査対象者408 名中、調査協力者279 名(回収率67%)を本研究の分析対象者とした。臨床の24 場面について、転倒転落リスクに関するアセスメントの実施状況を尋ねたところ、実施率90%以上は「移乗動作を援助する時」「歩行に付き添う時」など5 場面あり、実施率70%以上は「ベッドサイドに歩行補助具を設置する時」「患者の歩く姿を見た時」など14 場面あった。一方、実施率60%未満は「利尿薬を配薬する時」「退室する時」だった。転倒転落予防ケア25 項目の転倒転落リスクが高いと判断した患者への実施状況は、24項目が実施率70%以上あり、「日常生活動作の援助方法をセラピストに相談する」のみ実施率65%であった。【考察】転倒転落予防ケアの実施率が全体的に高く、予防介入を行う必要性は根付いていると考えられた。転倒転落リスクアセスメント実施率90%以上の5 場面は、いずれも患者への直接的なケア提供場面であった一方で、看護ケアや治療支援後に患者から離れる場面の実施率は低かった。直接的な介入場面での即時的なアセスメントは行うが、事後予測の点で不十分さがあることが考えられた。ケア提供や治療支援時にはその後生じうる生体反応や患者の行動などを併せてアセスメントし、予測される不利益を可能な限り回避できるように対応しておく必要があり、今後の課題である。ただし、本調査における実施率は回答者の主観データに基づいており、実際のケア実施状況とは異なる可能性があり、解釈には注意が必要である。