[ポスターY-29-4] 回復期リハビリテーション病棟におけるインシデント発生後の看護記録の現状
Keywords:回復期リハビリテーション病棟、インシデント、看護記録
【目的】A 病院回復期リハビリテーション病棟の2021 年度に発生したインシデントの内訳は転倒・転落が半数を占めて最も多い。発生要因として看護師の思い込みや判断不足・観察不足が7 割以上を占め、同様のインシデントが発生していた。その要因の一つとして検討された改善策や対策の評価が記録されず、継続した一貫性のある看護介入ができていないのではないかと考えた。そこで、同様のインシデントを起こさないためにインシデント発生後の看護記録の現状を知ることを目的とした。【方法】2021 年度に発生した転倒・転落インシデントで発生要因が看護師の思い込みや判断不足・観察不足である28 件の看護記録を対象にインシデント発生後から1週間の看護記録を振り返り、看護アセスメントの有無、看護計画の立案・修正の有無、対策に対して行った看護介入に関する経過記録の有無、実行した対策や看護介入の評価の有無を調べた。個人情報が漏洩することがないように調査結果は研究の目的以外には使用しないこと、データの管理は記号化し個人が特定できないようにした。【結果】対象である看護記録28 件のうち、インシデント発生から1 週間に「看護アセスメント記録」があったものは28 件(100%)、「看護計画の立案・修正」がされていたものは5 件(17.8%)、「対策に対して行った看護介入に関する経過記録」があったものは22 件(78.5%)、「実行した対策や看護介入の評価記録」があったものは4 件(14.3%)であった。【考察】インシデントに対してアセスメント内容が記録され看護介入がされていても、看護計画に反映されず、実施された看護介入についての有効性がほぼ評価されていなかった。看護師は日々の業務の中で看護記録より情報を得るが、この現状により実行した対策や自身の看護ケアの評価ができず、次のケアに活かせないため同様のインシデントが発生しているのではないかと考える。さらに、アセスメント内容が記録されているにも関わらず、同様のインシデントが発生していることから、アセスメントにおける指標が曖昧であることが示唆された。このことにより、インシデント発生後の看護記録におけるPDCA サイクルが十分に機能していない現状が明らかとなった。インシデント発生後の看護記録としてアセスメント内容、看護計画の立案・修正および看護介入と、その評価の重要性が示された。