第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

ポスター

ポスター30群 医療安全②

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:渡部 節子

[ポスターY-30-5] 救命センターで働く看護師の入院患者に対する転倒予防への思い

―身体拘束への葛藤に焦点をあてて―

宮下 香奈子, 大根 玲奈 (公立能登総合病院)

Keywords:救命センター看護師、身体拘束、葛藤、転倒予防

【目的】救命センターで働く看護師の入院患者に対する転倒予防への思いを明らかにする。【方法】A 病院救命センターに1 年以上勤務し、一般病棟で勤務経験のある3 交代勤務看護師6 名を対象とし、2022 年9 月~ 10 月にインタビューを実施した。インタビュー内容は年齢、看護師・救命センター・一般病棟での経験年数、救命センターに入院する患者の転倒予防に対しての思いと対応、転倒転落しそうになったケースや転倒転落してしまったケース、患者の自立を促すことと転倒予防をすることの困難さとした。インタビュー内容から逐語録を作成し、転倒予防に対する思いをコード化し、内容の類似性に従いサブカテゴリーに集約しカテゴリーを抽出した。調査対象者へ研究の趣旨・目的と研究参加は自由意思であることを説明した。【結果】研究参加者は女性6 名で平均年齢は38 歳± 4.7 歳であった。救命センターで働く看護師の入院患者の転倒予防に対する思いとして142 のコード、27のサブカテゴリーから、「治療を優先させたい」「身体拘束はせず安全に過ごしてもらいたい」「転倒リスクを判断し予防に繋げたい」「自立して動けるように援助したい」「スタッフ間の協力が必要」「転倒させることへの恐怖心」「安全のために行わざるを得ない身体拘束への迷い」「身体拘束はしたくない」の8 つのカテゴリーが抽出された。【考察】救命センターにおける看護師の転倒予防の思いとして、身体拘束を適応せずに患者の安全を守り、患者が自立して動けるように援助したいという、治療を優先させたい思いと、患者の人権を尊重したい思いの葛藤がみられた。患者のケア時や側に付き添える場合は見守る看護を行うことで、患者の動きたい気持ちを尊重し、身体拘束への罪悪感が軽減できるようになると考える。また認知症をもつ患者の対応は、看護師自身の気持ちや他スタッフの視点・対応で変化するため、他職種が協力し患者の日々変わる状態を共有し、情報交換していくことが必要であると考える。また患者の動きたい気持ちを尊重した転倒予防を行うには、患者の入院前の生活に沿ったケアの検討が必要であると考える。