第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター31群 せん妄への対応

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:中野 あけみ

[ポスターY-31-1] 急性期病院の高齢患者に対するせん妄予防ケアでの困難

―病棟看護師を対象とした質問紙調査より―

清水 春香1, 小山 尚美2 (1.山梨県立中央病院, 2.山梨県立大学看護学部看護学科)

キーワード:せん妄予防ケア、困難、急性期病院

【目的】A 病院病棟看護師のせん妄予防ケアでの困難を明らかにする。【方法】395 名を対象にせん妄予防ケアでの困難(自由記載)に関する自記式質問紙調査を行い、内容分析の手法を用いて分析した。対象者に書面で研究の主旨・個人情報保護・研究参加の任意性等を説明し、調査票提出をもって同意とした。なお、所属機関の倫理審査委員会の承認(承認番号:2022-2-a)を得て実施した。【結果】257 名より回答が得られ(回収率:65%)、平均臨床経験年数は7.21 ± 6.34 で、せん妄予防看護研修参加状況(複数回答)は、ナーシングスキル:152 名(61.5%)、院内研修:115 名(46.6%)、自部署の研修:62 名(25.1%)、研修参加経験なし:22 名(8.9%)であった。せん妄予防ケアでの困難は、151 記録単位、27 のサブカテゴリから、せん妄発症後の困難として、〈せん妄患者への対応(34:22.5%)〉〈せん妄患者への薬物療法(23:15.2%)〉〈マンパワー不足がありせん妄患者に抑制をせざるを得ずジレンマ(17:11.3%)〉〈せん妄患者に対応している際の看護師の感情コントロール(6:4.0%)〉の4カテゴリが、せん妄予防ケアの困難として、〈せん妄予防ケアをやりたいが様々な制約がある(24:15.9%)〉〈せん妄と認知症や元々の性格の区別12:7.9%〉〈せん妄予防ケアの良否がわかりにくい(11:7.3%)〉〈せん妄予防に対するチームでの連携(8:5.3%)〉〈せん妄予防に関する知識不足(6:4.0%)〉〈せん妄誘発因子のコントロール(5:3.3%)〉〈患者の理解が得られない(5:3.3%)〉の7カテゴリが形成された。【考察】せん妄予防ケアでの困難を聞いたが、回答をみるとせん妄発症後の困難が半数以上でありせん妄予防ケアが浸透していないことが窺えた。特に薬物療法の内容が多いことから「せん妄予防・せん妄ケア=薬物療法」と捉えているスタッフが多いと言え、せん妄予防・せん妄ケアの正しい知識の普及が必要である。また、せん妄予防ケアの困難では、様々な限界とともに知識不足もあり、制約がある中で実施可能なせん妄予防ケアの具体的方法を伝えていくことも必要である。さらに、予防ケアの意義を実感できる環境が少ない状況も窺え、せん妄予防ケアの確実な評価と意識的なフィードバックの重要性が示唆された。