第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター31群 せん妄への対応

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:中野 あけみ

[ポスターY-31-2] 心不全患者に対するせん妄の早期発見への取り組み

―アセスメントツールを導入し、導入後の評価とせん妄への意識調査を行って―

東海 奈津美, 新 華奈子, 南川 洋美 (加賀市医療センター)

Keywords:せん妄、早期発見、ICDSC、心不全

【目的】集中治療領域を担うA 病棟は心不全患者が多く、治療や安静の制限からストレスを抱え、せん妄発症のリスクが高い。せん妄発症時には安静が守れず、身体拘束や薬剤を使用し症状が落ち着くまで待つことが多い。せん妄発症の判断は看護師の経験知で判断している現状である。本研究はせん妄発症の早期発見のためアセスメントツールを導入し、統一した視点をもって評価したことで、せん妄対策への意識変化や評価の必要性などの実態を明らかにした。【方法】集中治療せん妄スクリーニングチェックリスト(Intensive Care Delirium Screening Checklist:ICDSC)を使用。7 月中に病棟看護師にツールの使用方法を周知し、8 月~ 11 月に心不全患者を対象に1 回/日ICDSC を用いて評価を行い、点数の変化をみた。12 月看護師へアンケートの回答を依頼した。無記名・自由記載方式で作成し、単純集計・記述統計を行い、せん妄へのイメージやICDSC 導入後の意識の変化、評価の必要性を分析した。倫理的配慮:本研究において個人が特定されることはなく、研究目的以外にデータは使用しないことを説明し同意を得た。【結果】ICDSC 評価で4 点以上となり、せん妄と判断したのは58%だった。胸部不快感や頻脈、喘鳴や呼吸困難感の症状がみられた。アンケート結果では病棟看護師17 名に配布し、回収率・有効回答率ともに100%であった。ICDSC を使用して〈とても良い〉〈良い〉の回答は82%占めた。「客観的に評価できる為対応が迅速にできる」「点数化して分かりやすい」「判断する際に声かけする必要がないので使いやすい」など意見がきかれた。また「判断基準を統一することによって対応しやすくなった」「点数で評価することで共通理解ができ、せん妄への対応ができる」と意見もきかれた。【考察】ICDSC 4 点以上になった心不全患者は、頻脈による心拍出量の低下や不快感により苦痛が生じ、せん妄が発症しやすい状態だったと考える。ICDSC は迅速かつ簡便に評価ができ、経験知による判断が可視化されることがわかり、導入への高評価が得られたと考える。アセスメントツールを使用することは、統一した看護ケアの提供、およびせん妄の早期発見により療養生活の危険回避に繋がるため、今後も継続して活用していく。