[ポスターY-31-3] 術後せん妄を発症した時期と関連因子の実態調査
―DST 評価を活用して―
キーワード:消化器外科病棟、術後せん妄、DST
【目的】A 病院の消化器外科病棟では、高齢患者が全身麻酔下で手術を受けるケースが増えてきている。同年代の高齢者でもせん妄を発症する患者と、術後も見当識が保たれており、せん妄を発症することなく退院される患者もいる。A 病院では1 年程前からDelirium Screening Tool(以下DST 評価とする)を使用し術前術後にせん妄のスクリーニングを行っている。日々看護をしている中で、術後せん妄は術後2 ~ 3 日目の夜間に多いと感じる。実際に1 日1 回DST 評価をしていてもせん妄リスクを見逃しており、有効に活用できていないのではないかと感じる。その為、せん妄発症時期を知ることと発症率の高い因子を抽出することが危険行動の予測につながると考え調査に至った。【方法】本研究は実態調査研究でB 病棟に全身麻酔下の手術目的で入院した重症個室部屋使用の65 歳以上の患者を対象とした。担当看護師が手術当日から術後7日目までDST 評価を用いて、対象患者に対して1 日2 回(日勤帯・夜勤帯)評価を実施した。本研究はA 病院の倫理委員会の承認を得て実施した。電子カルテ上で情報収集し、得られたデータは個人が特定されないように処理し、集計結果は本研究以外に使用しないこととする。【結果】当該病棟での期間中の手術総件数は40 件、うち調査対象者は計9 名(男性7 名、女性2 名)であった。DST 項目の中で該当するものが多かったものは「興奮」、次いで「睡眠・覚醒」、そして「現実感覚」、「幻覚」という結果になった。せん妄を発症した患者のDST 項目該当症例の内訳は、術後1 日目では「興奮」2 例、「幻覚」1 例。術後2 日目では「現実感覚」1 例、「興奮」2 例、「幻覚」1 例。術後3 日目は、「幻覚」1 例。術後4 日目では「睡眠・覚醒」1 例、術後5 日目は「睡眠・覚醒」1 例であった。全例、術後6 日目以降のせん妄発症はなかった。以上の結果よりDST 項目該当症例の中で、術後2 日目のせん妄発生が多いことがわかった。また、せん妄が発生した時間帯は術後2 日目の夜間が多かった。【考察】看護師が日々業務している中で感じていた術後2 日目にせん妄が多いという感覚は、研究症例のスクリーニングと同じ結果となった。重症個室から転出し、より日常生活に近い環境に戻すことでせん妄の発生を防ぐことが出来るのではないかと感じた。