[ポスターY-32-3] 定期手術患者へのHCU オリエンテーション動画の運用と課題
Keywords:HCU、オリエンテーション動画、術後イメージ、術後不安
【目的】COVID-19 流行下において、術前にHCU の見学ができなくなった患者から、術後の環境や状況についての不安の声が多く聞かれるようになった。その為、術後の状態やHCU の環境についての理解が深まりイメージができるよう、HCU オリエンテーション動画を作成した。今回、オリエンテーション動画視聴後の患者の反応と病棟看護師による運用が可能であるかを検討したためここに報告する。【方法】動画視聴は、一般病棟で定期手術患者に入院オリエンテーションが行われる際にDVD プレーヤーを用いて視聴してもらい、視聴前後にHCU 入室についての説明を行った。動画視聴後の患者に対して、動画内容の理解度や術後イメージ、術後不安の軽減についての評価を実施した。また、該当病棟の看護師に対して運用する上での課題について聞き取りを行った。倫理的配慮として、評価には個人属性を尋ねる質問は含めず、研究対象者が特定されないように個人情報の保護に努めた。【結果】患者22 名から評価を得た。動画内容について「非常に理解できた」「理解できた」という意見が100%であった。術後イメージについて「とてもイメージできた」「イメージできた」という意見が95%であった。術後不安について「とても軽減した」「軽減した」という意見が82%であり、「どちらともいえない」という意見が18%であった。動画には、手術室からHCU 入室までに患者が通る経路を患者視点から撮影した動画を取り入れ、イラストではなく実際に患者が使用する医療機器の写真を使用する等の工夫をした。また、動画オリエンテーションの実施には、13 名の看護師の協力が得られた。看護師の聞き取りからは、DVD プレーヤーが1台であるためHCU 入室患者が複数名いた時に見せるタイミングを逃してしまうことや、検査や医師からの説明があり時間的な制約が多い入院日に動画を見せる事は負担だという意見が聞かれた。【考察】動画オリエンテーションについては、先述の患者意見の割合の通り患者側からは概ね肯定的な反応を得た。先行研究で説明用紙によるオリエンテーションよりも動画を用いたリアリティオリエンテーションの方が不安軽減やせん妄予防に効果的であることは明らかになっている。説明用紙では表現できない動画ならではの工夫がこの結果に貢献したと考える。一方、運用時の業務負担について課題があがり今後の検討としたい。