第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター32群 周術期の看護

Thu. Nov 9, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:中野 あけみ

[ポスターY-32-5] 心臓手術後の集中治療体験で生じた記憶のゆがみと対処行動

藤原 拓也, 佐々木 駿, 末友 佐恵子, 樋口 祥子, 中田 健, 三浦 裕輔, 室住 夕子 (浜田医療センター)

Keywords:心臓手術、集中治療体験、記憶のゆがみ、対処行動

【目的】集中治療後症候群(PICS)の要因となる記憶のゆがみを修正するためには集中治療室滞在中の適切な記憶の構築と退室後の記憶の再構築が重要となる。A 病院では予定心臓手術後に入室する患者のPICS 予防に取り組んでいるが、患者に生じた記憶のゆがみと対処行動の具体的な内容は把握できていない。そこで、予定心臓手術後の集中治療体験で生じた記憶のゆがみと対処行動を明らかにすることを目的に本研究を行った。【方法】予定心臓手術後に集中治療室に入室した患者で一般病棟に入院中または退院後1 年以内の患者6 名を対象に半構成的面接を行った。逐語録を作成し記憶のゆがみと対処行動についての語りを抽出しコード化、カテゴリー化を行った。対象者に研究の主旨、匿名性の保持、調査協力は自由意思であり同意後も撤回できること、治療や看護に不利益は生じないこと、研究結果は学会等で公表予定であることを文書と口頭で説明し同意を得た。【結果】対象者6 名のうち5 名に記憶のゆがみが生じていた。心臓手術後の集中治療体験で生じた記憶のゆがみとして[記憶の欠落][曖昧な記憶][曖昧な時間感覚][記憶と現実の相違][非現実的な出来事][せん妄の記憶]の6カテゴリー、その対処行動として[非現実的な出来事について理由を考える][非現実的な出来事について自分なりに理解する][非現実的な出来事に対して理由づけをする][周囲から情報を得て自分の置かれた状況を把握する][非現実的な出来事について他者に話すかどうかを判断する][非現実的な出来事について他者に確認する][非現実的な出来事について他者に解決を求める][せん妄について冷静に思い返す]の8カテゴリーが明らかになった。【考察】[記憶の欠落][曖昧な記憶][曖昧な時間感覚][記憶と現実の相違]に対し患者は事実を確認する対処行動をとっていた。術後の鎮静管理で患者の記憶は欠落し集中治療の影響で記憶や時間感覚は曖昧になりやすい。看護師は患者の記憶が曖昧な出来事について説明し患者が事実を確認する作業を支える必要がある。[非現実的な出来事][せん妄の記憶]に対し患者は自分自身で解決しようとする対処行動をとっていた。看護師は患者が経験した非現実的な出来事について患者の語りを促す支援が必要である。そして、退室後訪問の際に記憶のゆがみを修正し記憶の再構築を支援することがPICS 予防につながると考える。