[ポスターY-33-1] 尿道留置カテーテル抜去後に下部尿路機能障害を生じた消化器外科術後患者の実態
―看護記録よりみえる身体的・精神的側面から―
キーワード:尿道留置カテーテル抜去後、下部尿路機能障害、消化器外科術後
【目的】A 病院B 病棟では消化器外科術後患者の尿道留置カテーテル(以下Fc とする)抜去の際、主治医の許可後に判断基準はないが看護師が抜去時期を判断している。適切な時期を判断すれば、抜去後の下部尿路機能障害(以下排尿障害とする)を防ぐことができるのではないかと考えた。そこでFc 抜去後に排尿障害を生じた消化器外科術後患者の実態を看護記録から明らかにし、抜去時期を判断するための示唆を得る。【方法】研究開始直近1 ヶ月以内にB 病棟に入院し、消化器外科手術を受けた患者11 名の電子カルテから調査を行なった。調査項目は、ア基本属性、イ排尿障害の内訳、ウ排尿障害の危険因子、エ排尿に関する看護記録内容とした。データは排尿障害の有無に分け比較した。対象者には研究参加の自由意思、匿名厳守等を説明し同意書に署名を得た。【結果】対象者のアは男性7 名(63.6%)女性4名(36.4%)平均年齢69.6 ± 12.7 歳。排尿障害ありは男性2 名、女性3 名、平均年齢61.6 ± 10.83 歳。イは尿閉1名、排尿困難4 名でうち1 名に尿失禁あり。ウの既往歴ありは4 名、骨盤内手術は3 名、開腹手術は3 名。Fc 抜去時に硬膜外麻酔中が3 名で、うち2 名は麻薬使用あり。排尿自立度は4 名が全介助で導尿実施あり1 点、他1 名は一部介助でパッド・おむつ使用あり1 点であった。エは、抜去から5 時間後に排尿誘導し自尿100ml 残尿150ml、肛門ドレーンあり排尿しづらいとのことで尿器使用、尿意と残尿感で入眠困難とあり。主観的情報は、いつになったら痛みがとれるか、尿が出るようになるのかとあり。【考察】排尿障害を生じた患者の60.0% に骨盤内手術(直腸)の既往があった。直腸癌に対する根治的切除術を行う際に下部尿路に関わる神経を損傷することがあるため、既往歴や術式を確認しFc を抜去することが必要と考える。排尿障害を生じた患者の60.0% が開腹手術を受けており、手術侵襲によるものと思われる排尿自立度の低下が見られた。Fc の抜去前に排尿に関する身体的機能を評価し、身体的機能の回復を待ってFc を抜去することで、排尿障害を防ぐことができると考える。硬膜外麻酔中にFc を抜去した全例に尿路障害が生じたため、硬膜外麻酔は下部尿路機能に影響があると考える。硬膜外麻酔の終了後にFc を抜去することで排尿障害を防ぐことができると考える。