第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター34群 創傷ケア①

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:遠藤 智弘

[ポスターY-34-3] 褥瘡予防に向けたベッドサイドカンファレンス導入による効果

萩原 智美, 逆瀬川 純子 (東京都立墨東病院)

キーワード:褥瘡予防、ベッドサイドカンファレンス、リンクナース

【目的】A 病院は三次救急医療を担う729 床の総合病院である。経年的に自重関連褥瘡の増加があり、不適切な体位変換や皮膚の観察不足が要因分析された。各部署にリンクナースを配置し、褥瘡発生事例の検討や予防ケアセミナーにより知識を付与してきたが、臨床に活かされていない現状であった。今回、リンクナースが主体的に考え予防ケアができるように、リスク患者のベッドサイドカンファレンス(以下CF)を導入した。これによるリンクナースの育成効果について明らかにする。【方法】期間:令和4 年6 月~令和5 年1 月。CF 方法:リンクナース26 名を6 グループに分け、褥瘡・栄養ケアの研修修了者をリーダーとした。褥瘡予防の観察視点を入れたチェックシートを作成。分科会開催日にグループメンバーの所属部署から抽出したリスク患者と褥瘡発生患者を訪問し、チェックシートをもとに対策実施状況や記録について意見交換し、所属部署にフィードバックした(計4 回実施)。分析:CF 導入効果について自由意見を独自アンケートで調査。データはKH コーダーの共起ネットワーク分析を実施。倫理的配慮:個人が特定されないよう配慮し同意を得た。【結果】アンケートは26 名より回答を得た(回収率100%、有効回答率100%)。共起ネットワーク分析から4 つのサブグラフが構成された。皮膚- 医療機器- フローシート- 観察-周知、患者- 褥瘡予防-CF- 実施- ケア- 考える- 必要、スタッフ- 意識- 向上- 機会、除圧- グローブ- ポジショニング- 使用、に共起関係があった。CF は延76 名の患者で実施し、褥瘡管理専従看護師が各グループのCF 内容に助言した。年間の褥瘡発生率は変化ないが、CF 実施翌月の褥瘡発生率は低下する傾向があった。【考察】共起ネットワーク分析からCF 導入の効果として、リンクナースが皮膚や医療機器接触部位の観察視点を自部署で周知できたこと、CF を通して褥瘡予防ケアを考えるようになったこと、実践型の活動によって、リンクナースだけでなく、スタッフの褥瘡予防に対する意識の向上につながったこと、グローブによる除圧やポジショニングの実施が示唆された。