第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター36群 栄養摂取・嚥下機能の維持向上

Thu. Nov 9, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:横川 敬子

[ポスターY-36-5] 病棟看護師が行う口腔ケアの現状

千葉 真依 (岩手県立胆沢病院)

Keywords:口腔ケア、看護師、意識調査

【目的】A 病院B 病棟では、脳血管疾患や終末期など他者による口腔ケアを要する患者が半数以上を占め、中には実施しても口腔内乾燥や舌苔の蓄積が改善しない患者もいる。そこで、B 病棟看護師が行う口腔ケアの現状の実態調査から現状と課題を明らかにした。【方法】期間は2022 年3 月~ 7 月、対象はA 病院B 病棟の看護師27 名とし、先行研究を参考に作成した無記名自記式質問紙による実態調査を実施、データを単純集計した。質問紙は口腔ケアの〈実際〉〈認識〉〈観察知識〉〈実行力〉の4 つの分類13 項目について4 ~ 5 段階の選択式、自由記載、複数回答での設問とした。調査にあたり、本研究の趣旨・個人情報・秘密保持・参加自由について文書で説明し署名にて同意を得た。また、A 病院の倫理委員会の承諾を得て実施した。【結果】25 名回収(回収率93%)、有効回答率100%だった。〈実際〉ケアにかける時間は5 ~ 10分が60%と最も多く、多忙でも十分に行えている回答はなかった。実施回数や質の低下の要因は、時間がないこと・患者の拒否が挙げられた。〈認識〉ケアの必要性は、非常にそう思う・思うが100%だった。清潔ケアで最も優先度が高いものは陰部洗浄が64%、口腔ケアが28%だった。〈観察知識〉プロトコールに応じたケアの実践率は72%、観察内容は開口障害が44%、歯や歯肉、舌、口唇等の観察は80%以上が実施していた。〈実行力〉ケアの困難が生じた時の対処は、他看護師への相談が80%、言語聴覚士へ相談が52%、摂食・嚥下障害看護認定看護師へ相談が28%だった。ケアで困っていることは、相談先が分からない・知識不足が挙げられた。【考察】今回調査した4 つの分類のうち、〈認識〉〈観察知識〉は概ね習得されており、〈実際〉〈実行力〉の実践面は不足している現状が明らかとなった。スタッフ全員が口腔ケアの必要性を感じ、清潔な口腔環境の維持につなげることを目標にしている一方、時間がないことや患者の協力が得られないことが、多忙な時の実施回数や質の低下の要因となり、口腔内乾燥や舌苔の蓄積が改善しない理由の一つとして考えられる。口腔ケアの質向上は、口腔機能の維持や合併症の予防、患者のQOL 向上にも繋がる。今後はより実践的なケア方法に関する知識・技術の向上を図ること、困難さが生じた際の相談先としての院内にある資源を活用していくことが課題である。