[ポスターY-37-4] 認定看護師の専従化による効果と今後の課題
Keywords:認定看護師、専従、診療報酬、滞在時間
【目的】A 病院は認定看護師(CN)12 名が勤務している。内、3 分野のCN 3 名は病棟業務との兼務により、活動時間の制限や超過勤務が続いていた。そのため2022 年4 月3 分野のCN 3 名を専従とし、同時に既に専従だった2 分野CN 2 名と共に認定看護師室を開設した。CN の活動、出勤から退勤までの滞在時間について評価するため、部署開設前後で比較分析を行った。【方法】新たに専従となった3 分野CN 3 名を対象に、認定看護師室開設前(専従前)の2021 年度と、開設後(専従後)2022 年度の診療報酬算定状況、滞在時間、および2022 年3 月と2023 年3 月の介入件数(相談対応と多職種ラウンドの合計)を算出し、後方視的に比較分析した。統計解析はχ二乗検定で分析し、有意水準0.05 未満とした。本研究は対象となるCN の承諾を得て行った。【結果】認知症看護は認知症ケア加算2 から1 へと区分変更となり、診療報酬算定点数は前年度比125%となった。認知症ケア加算(身体拘束あり)件数は減少した(P<0.05)。摂食・嚥下障害看護は新たに3 つの診療報酬算定を行い、診療報酬算定点数は前年度比229%となった。皮膚・排泄ケアは診療報酬算定件数が増加した(P<0.05)。滞在時間の前年度比は認知症看護104%、摂食・嚥下障害看護105%、皮膚・排泄ケアは104%であった。介入件数の前年度比は認知症看護88%、摂食・嚥下障害看護118%、皮膚・排泄ケア240%であった。【考察】専従になったことで、診療報酬の増収や相談対応、多職種ラウンドなどCN が介入する機会が相対的に増加した。介入機会が増えた理由は、CN の認知度が高まったこと、またCN自ら対象患者を抽出し積極的に介入するようになったことが要因と考える。認知症ケア加算においては、多職種ラウンドの実施が身体拘束の減少にも繋がったと推測する。診療報酬に関しては専従として活動時間を確保できたため、区分変更や新たな算定の実施に繋がった。診療報酬の増収は病院にとっての利益に、またCN の介入は患者や看護師への利益に寄与したと考える。その一方で、滞在時間の減少には至らなかった。その要因として、新たな診療報酬算定に伴う準備や実践、記録の増加が考えられる。専従になったことで組織横断的に効果的な活動ができたが、滞在時間の削減に関しては業務整理を行うなど課題が残る結果となった。