第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター40群 安全・安楽への支援①

2023年11月9日(木) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:杉本 環

[ポスターY-40-3] Walk-in を受診した脳梗塞患者の治療開始までの時間の検討

笠原 結香, 植木 枝美子 (岡山市立総合医療センター岡山市立市民病院)

キーワード:救急外来、Walk-in、脳梗塞、トリアージ

【目的】Walk-in を受診した脳梗塞患者の事前情報の有無による診療過程時間の差を調査し、どの場面で時間を要しているのかを明らかとし、改善すべき点を検討する。【方法】2021年7 月から2022 年8 月までにWalk-in を受診した一過性脳虚血発作を除く脳梗塞を対象に後ろ向き研究を行った。「事前情報あり」を脳疾患ホットラインあり(A 群)、「事前情報なし」を脳疾患ホットラインなし(B 群)とし、各診療過程別でp 値<0.05 で有意差ありとした。診療過程の各時間は、1.受付から医師診察、2.医師診察からCT 撮影、3.受付からCT 撮影、4.CT 撮影から治療開始、5.受付から治療開始とした。B 群のうちトリアージを行った場合をC 群、行わなかった場合をD 群とする。C 群の場合、① -X 受付からトリアージ、① -y トリアージ実施時間、① -z トリアージ終了から初期診察医の診察開始時間を調査し、トリアージの実施による時間の差を比較した。倫理的配慮は、データ管理はインターネットと接続のないコンピューターで行い、パスワードをつけ、厳重に管理した。【結果】Walk-in を受診した脳梗塞患者はA 群35 名、B 群34 名、C 群9 名であった。A 群、B 群との比較では、4.CT 撮影から治療開始(p = 0.02)、5.受付から治療開始(p = 0.001)で有意差ありとなった。トリアージの実施による比較では、受付から治療開始までの時間で12 分C 群の方が早かった。トリアージ看護師から脳疾患ホットラインへ連絡した件数は1 件であった。【考察】各診療過程別の平均時間では、事前情報あり(A 群)の方が、治療開始まで42 分早く、脳疾患ホットラインを利用することは、急性期脳梗塞患者の早期治療に有用であることを示す結果となった。今回の結果で最も重要だと考えられたのは、CT 撮影後に、治療開始まで多大な時間を要していることであった。通常、CT 撮影後に初期診察医から専門医へコンサルトを行うことが多いが、様々な要因で脳神経外科医への連絡が遅延したと考えられる。しかし、この問題に対して直接看護師が働きかけて改善できる問題ではない。トリアージを行った場合、治療開始までの時間を短縮できたことから、トリアージは早期治療開始に有用であると考える。医師からのコンサルトではなく、看護師から脳疾患ホットラインへ直達できるフローを作成し、統一した対応が必要である。