[ポスターY-41-4] 母親から自己注射を移行するための支援
―低リン血症性くる病の高校生患者の思いからの考察―
Keywords:低リン血症性くる病、自己注射、高校生患者
【目的】A 病院では、低リン血症性くる病患者に対し、クリースビータⓇの自己注射指導を行っている。高校生患者は、自己注射に対する抵抗感が強く、実際は母親中心の指導となっている。そこで、成人に移行する前段階で、患者の治療継続に関わる思いを知り、高校生になった患者自身に自己注射として移行する支援に繋げることを目的とした。【方法】対象者は4 名。調査方法は半構造化面接法でインタビューを行った。分析は、逐語録を作成し、グラウンテッドセオリーアプローチで分析した。対象者には、同意説明文書を用いて説明し、患者の自由意志による同意取得を書面で得た後に録音を行った。音源は研究後復元できない形で破棄した。A 病院の倫理審査委員会の承認(No.220719)を得た。【結果】4 名の「思い」を質的帰納的に分析した結果、20 個の概念を抽出し、8個のカテゴリーに分類した。カテゴリーを《》で示す。《自分の病気の理解》《薬を飲むのは注射よりも嫌い》《自己注射は看護師から教わるコツと慣れ》《最初は怖くて痛い注射》《注射への期待や肯定感》《注射は痛いし慣れないけど母親なら痛くない》《自己注射する時の心構え》《注射するときの痛みへの工夫》とした。なお、《注射するときの痛みへの工夫》は4 名すべてが「思い」として語ったためコアカテゴリーとした。【考察】患者は《自分の病気の理解》を小さいころからの病気という理解をしていた。一般的に治療同意には疾患理解は必須だが、その機会が得られていない。だからこそ《最初は怖くて痛い注射》という思いに繋がっていた。患者は《最初は怖くて痛い注射》から《注射への期待や肯定感》《薬を飲むのは注射よりも嫌い》への思いに変化している。つまり、母親から自己注射へ移行するためには、患者の注射手技や定期的に注射できたことを確認し承認することが、肯定感への支援につながる。また、内服薬の困難さを傾聴し注射へ移行を進めていくことも必要である。注射は当然疼痛を伴うものであるが、患者は《自己注射する時の心構え》や《自己注射は看護師から教わるコツと慣れ》などのように《注射するときの痛みへの工夫》をそれぞれの感性で工夫をしている。一方で《注射は痛いし慣れないけど母親なら痛くない》という思いも影響している。コアカテゴリーである《注射をするときの痛みへの工夫》を伝えることで自己注射に対する抵抗の軽減につながる。