第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター43群 看護職の心の働きとその対処①

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:勝山 貴美子

[ポスターY-43-5] 終末期がん患者に関わる病棟看護師の困難感

―病棟看護師へのフォーカスグループインタビューから―

白須 麻裕, 山崎 美穂 (富士吉田市立病院)

キーワード:終末期がん患者、困難感、看護師

【目的】終末期がん患者に関わる病棟看護師の困難感を明らかにし、困難感の軽減に向けた支援のあり方を検討する。【方法】フォーカスグループインタビューによる質的記述的研究を行った。録音データを逐語録に置き換え、分析テーマに関連すると思われる個所に着目しデータを拾い、要点を整理し解釈を加え、分析ワークシートを作成した。比較検討し形成された説明概念からカテゴリーを作成した。本研究で得た情報は研究以外に用いないことを書面で同意を得た。倫理審査委員会にて承認を受けている。【結果】130 のコードが抽出され22 のサブカテゴリー5 のカテゴリーに分類された。「患者・家族の意向を看護へ反映させることの難しさ」では理想と実際に行うケアとのギャップから自信が持てず自己評価が下がり無力感となる事や、患者と死を見つめていく信念がなければ患者との関わりに不安や恐れを感じている。「終末期患者に緩和ケアとして使用する薬剤コントロールの難しさ」では症状の悪化に伴って、患者が苛立ちや不安、恐怖を感じている時の対応に戸惑う場面は多く、薬剤による症状のコントロールが上手くできずに苦悩する患者を目の前にした時、困難感が生じている。「終末期患者の苦痛を理解し、対応することの難しさ」では悪い知らせを受けた患者が予後や死について訴えてくる時、どのように返答して良いか分からず、他に出来る事はなかったかと無力感を感じている。「医師と看護師の連携不足や看護師間で看護を統一することの難しさ」では患者や家族の苦痛、苦悩を軽減させるために医療者間の共通認識やケアの統一が必要であるが、特に病状説明や治療方針の決定時に医師、看護師間の連携が上手くいかずに患者、家族への意思決定支援が不十分だと感じている。「患者、家族が納得できる最期の過ごし方を提供する難しさ」では新型コロナウイルス感染症の流行に伴い面会制限が行われ、以前のように面会ができず、家族ケアの実施が困難になったことが挙げられた。【考察】困難感は看護師一人で抱え解決できる問題ではない。チーム全体で患者、家族を支援していくことが患者や家族だけでなく看護師にとっても重要である。困難感を軽減するための看護ケア・支援として[終末期がん患者に対し困難に感じている事のカンファレンスやデスカンファレンスをする][緩和ケアチームの回診後に病棟看護師を含めたカンファレンスを行う]が示唆された。