第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター50群 継続教育③

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:髙橋 久美

[ポスターY-50-4] 補完体制を構築するための部署内ローテーション導入

岸本 千幸, 榎本 数美 (大阪国際がんセンター)

キーワード:人員配置、人材育成、安全性、看護管理

【目的】A病院放射線系外来の看護体制は、放射線診断科と放射線治療科のチーム固定制で、子育て世代が約半数を占め、子の体調不良等で急な欠員が生じ、安全性を担保した適正な人員配置が困難になることが多い。科の特徴として造影剤を使用する検査・治療により年間200件程度のアレルギーが発生しその対応が必要となる。そこで急な欠員や業務過多となった際に、安全性を担保した業務調整が行えることを目的に、部署内ジョブローテーション(以下ローテと略す)制度を導入しチーム間の補完体制の構築に取り組んだ。【方法】実施期間はX年6月から1月。当部署の常勤看護師16名を対象に育成計画表を作成し、ローテ制度を導入した。導入1カ月、7カ月後にスタッフ全員に、「気になること」「困っていること」「要望」「うまくいっていること」について記述式アンケートを実施し、内容が類似するものをまとめてカテゴリー化し分析した。ローテ実施者に対しては、定期的にヒアリングを行い心理的安全性の確保に努めた。倫理的配慮として、個人が特定できないように十分な配慮を行った。【結果】ローテ制度導入後、予定ローテは期間内で121営業日中95日実施。急な欠員や多重業務時の応援として、予定外のローテをした日数は延べ34日であった。アンケートの結果は「不安」「問題点」「うまくいっている」「その他」のカテゴリーに分けられ、不安や問題点には「業務習得への不安」「指導者不足や指導方法の問題」「ローテスタッフとの関りの問題」が抽出され、うまくいっている点として「急な休み・業務過多時の補完体制」「他チームとの関係性向上」「風土変化」等の項目が抽出された。その他、「業務改善点の共有」や「制度の継続希望」等の項目があげられた。導入の前後比較では、不安や問題と感じる意見は前後とも11件であったが、肯定的な意見は15件から21件と増加した。【考察】ローテ制度導入により、急なスタッフの休みや業務量に応じた流動的な人員調整が可能となったことは、欠員や業務過多が要因となるリスクを回避させ、安全性を担保した補完体制が構築できたと考える。また、スタッフの理解を得るために丁寧に説明を行ったことで、動機づけを行うことが出来た。そして導入後もスタッフの思いを受け止め、問題点に対する改善策を検討し、PDCAサイクルを回したことがスムーズな計画遂行に至ったと考える。