[ポスターY-50-5] A病院のマネジメントラダーの評価に基づく看護管理者育成の課題
Keywords:マネジメントラダー、看護管理、人材育成
【目的】A病院では「病院看護管理者のマネジメントラダー日本看護協会版」を参考に組織の役割や使命に基づき、地域連携や人材育成、看護研究等に関する到達目標を追加し、マネジメントラダーを作成した。本研究ではマネジメントラダーの評価結果から、看護管理者の育成への課題を明らかにする。【方法】2022年4月~10月の間にA病院の看護管理者85名を対象に調査した。看護管理者が目指す4つのレベル毎に、日本看護協会が示す6つの看護管理実践能力の到達目標に対して評価を得た。到達目標は、レベル1は22項目、レベル2は26項目、レベル3は23項目、レベル4は20項目であり、評価基準は、A(到達)、B(ほぼ到達)、C(努力を要する)とした。倫理的配慮として、個人が特定されないように、IDをつけて匿名化し、単純集計により分析した。【結果】対象者は、副看護師長55名、看護師長25名、副部長4名、看護部長1名であり、レベル1は34名、レベル2は32名、レベル3は18名、レベル4は1名が評価した。レベル1及び2の承認基準を満たした者は、14名(41%)及び8名(25%)であった。危機管理能力の評価が最も高く、レベル1は75%、レベル2は79%の看護管理者がA評価としていた。一方で、政策立案能力は、レベル1は46%、レベル2は31%であった。また、看護研究や医療制度に関する到達目標の評価が両レベル共に低い傾向を示した。レベル3の評価者の8割は看護師長であり、4名(21%)が承認基準を満たした。レベル3では、BまたはC評価が7割以上と全体的に低い評価であった。レベル4は1名が承認基準を満たした。【考察】レベル1及び2では、危機管理能力の評価が高く、組織として医療安全管理者養成研修の受講を計画的に推進しているためと考える。一方で、看護研究や医療制度に関する評価が低かったため、これらの看護管理実践能力を習得するための支援や研修等を検討する必要性が示唆された。レベル3の評価が低かった理由は、評価者の約8割が看護師長であったためと考える。A病院は大規模であり、組織としてはレベル2の「自部署の看護管理の実践」が重要かつ優先される。しかし、レベル3の「トップマネジメントを担う看護管理者」を計画的かつ継続的に育成するためには、病院全体の管理、運営への参加や地域まで視野を広げた看護管理の機会を与える必要がある。