[ポスターY-6-1] 新興感染症発生時の看護提供体制の構築に関する研究(第1報)
―A県県型保健所における対応と体制整備に焦点を当てて―
Keywords:保健師管理者、新興感染症、県型保健所、体制整備
【目的】COVID-19 の対応の窓口となる保健所の保健師の活動は、感染者数や保健医療の資源により異なる。本研究の目的は、感染者が多かったA 県のCOVID-19 によるパンデミックに県型保健所の保健師管理者がどのように対応し体制整備をしたのかについて明らかにすることである。【方法】A 県の県型保健所の統括保健師8 名を対象とし、半構成面接でデータを収集した。面接内容は、第1 波から7 波までの状況および対応等であった。分析は、面接内容から対応と体制整備に関する語りを抽出しカテゴリ化した。倫理的配慮として、対象者には研究の目的及び方法、自由意思による参加、個人情報保護、結果の公表等について口頭及び文書で説明し、研究協力について文書で同意を得た。【結果】面接の平均時間は、61 分/人(48-77)であった。第1 波では管内で感染者発生があった保健所は≪対応を標準化するために対応マニュアルを作成≫、感染者がなくても≪保健所全体で対応するための班編成≫を行っていた保健所があった。第2 波ではクラスターが発生した保健所では県や市町村への応援依頼と受援のための≪関係機関との調整および受入れ体制の整備≫、第3 波では感染者が最も多い地域に優先的に応援が配置されるため≪県民局や管内市町村への独自で応援要請と受入れ調整≫を行った。第4 波では疫学調査をする保健師が不足という状況となり≪保健師の優先業務を精選≫し、≪保健師以外でも対応可能な業務のマニュアル作成≫、第5 波では疫学調査について≪研修により事務職の派遣職員の業務拡大≫、≪大学とのパートナーシップ制度を活用≫し、第6 波においても≪あらゆる職員および応援の看護職による対応体制の整備≫、≪専門職以外の県職員向けの疫学調査マニュアルを作成≫して膨大な感染者に対応していた。第7 波はさらに感染者が増大し≪感染症担当課の業務を振り分け役割を分担≫し、重症化のリスクのある感染者に対する≪往診や訪問看護を円滑に実施するための体制づくり≫を行った。【考察】保健師管理者は応援看護職および専門職以外の支援者のための対応マニュアルを作成、役割分担や業務を精選し、受援のための調整および受入れ体制を整備することで増大する感染者へ対応しており、COVID-19 におけるこれらの対応は新たな新興感染症に対する備えに活かすことができると考える。