[ポスターY-6-3] 新興感染症発生時の看護提供体制の構築に関する研究(第3報)
―A県内市町における業務調整に焦点を当てて―
Keywords:COVID-19、市町、保健師管理者、業務調整
【目的】COVID-19 禍において市町の日常活動は大きな影響
を受けた。本研究は、COVID-19 パンデミックにみられる新興感染症発生時の市町に所属する保健師管理者の業務調整について明らかにすることである。【方法】A 県内市町の統括保健師6 名を対象とし、半構成的面接でデータを収集した。調査内容は、第1 波から8 波までの感染状況を踏まえた保健師管理者の判断や業務調整の内容等である。分析は、面接内容から判断や業務調整等の対応に関する語りを抽出しカテゴリ化した。倫理的配慮として、対象者には研究の目的及び方法、自由意思による参加、個人情報保護、結果の公表等について口頭及び文書で説明し、研究協力について文書で同意を得た。【結果】面接の平均時間は、84 分/人(105 - 58)であった。第1 波では市町に感染者発生状況等の情報が入りにくく≪実態が見えない状況下での手探りの情報収集≫、殺到する≪住民の混乱・不安に対する相談対応≫や≪感染者に対する差別・偏見抑止活動≫を実施し、さらに、緊急事態宣言発令に伴う≪保健事業の中止判断≫を行っていた。第2 波ではマスク品薄等の混乱が生じ≪住民の不安軽減のためのマスク配布≫や≪保健所逼迫による応援要請を受けての保健師派遣≫を行い、第3 波・第4 波では≪ワクチン接種を受けられない住民の苦情対応≫や≪全庁的応援体制を組んだワクチン接種≫、≪住民に対する正しい知識の普及啓発≫、保健所に電話が繋がらないなどの≪保健所逼迫に伴う第2 の相談センター的立場での住民対応≫を行っていた。第5 波では≪地域医師と協力体制を結んでの医療提供≫や≪保健所の逼迫による対応の遅れを補うサービス提供≫を行い、第6 波~第8 波では≪コロナ対策と通常業務の同時並行への転換≫や職員の負担蓄積に伴う≪保健師増員要請≫や≪休暇取得を確保できる体制づくり≫を行っていた。【考察】市町の保健師管理者は、住民の混乱や不安を最前線で受け止めた相談対応や差別・偏見抑止活動、知識の普及啓発などの予防活動に取り組むとともに、保健所に対する保健師派遣や保健所サービスの補完的支援、関係機関と連携した感染症対応を行っていた。パンデミックにおいて、保健事業の検討に加え、感染症対応を余儀なくされるという事態において速やかな対応は、新たな新興感染症に対する備えにおいて平常時からの包括的危機管理体制構築の検討に活かすことができると考える。
を受けた。本研究は、COVID-19 パンデミックにみられる新興感染症発生時の市町に所属する保健師管理者の業務調整について明らかにすることである。【方法】A 県内市町の統括保健師6 名を対象とし、半構成的面接でデータを収集した。調査内容は、第1 波から8 波までの感染状況を踏まえた保健師管理者の判断や業務調整の内容等である。分析は、面接内容から判断や業務調整等の対応に関する語りを抽出しカテゴリ化した。倫理的配慮として、対象者には研究の目的及び方法、自由意思による参加、個人情報保護、結果の公表等について口頭及び文書で説明し、研究協力について文書で同意を得た。【結果】面接の平均時間は、84 分/人(105 - 58)であった。第1 波では市町に感染者発生状況等の情報が入りにくく≪実態が見えない状況下での手探りの情報収集≫、殺到する≪住民の混乱・不安に対する相談対応≫や≪感染者に対する差別・偏見抑止活動≫を実施し、さらに、緊急事態宣言発令に伴う≪保健事業の中止判断≫を行っていた。第2 波ではマスク品薄等の混乱が生じ≪住民の不安軽減のためのマスク配布≫や≪保健所逼迫による応援要請を受けての保健師派遣≫を行い、第3 波・第4 波では≪ワクチン接種を受けられない住民の苦情対応≫や≪全庁的応援体制を組んだワクチン接種≫、≪住民に対する正しい知識の普及啓発≫、保健所に電話が繋がらないなどの≪保健所逼迫に伴う第2 の相談センター的立場での住民対応≫を行っていた。第5 波では≪地域医師と協力体制を結んでの医療提供≫や≪保健所の逼迫による対応の遅れを補うサービス提供≫を行い、第6 波~第8 波では≪コロナ対策と通常業務の同時並行への転換≫や職員の負担蓄積に伴う≪保健師増員要請≫や≪休暇取得を確保できる体制づくり≫を行っていた。【考察】市町の保健師管理者は、住民の混乱や不安を最前線で受け止めた相談対応や差別・偏見抑止活動、知識の普及啓発などの予防活動に取り組むとともに、保健所に対する保健師派遣や保健所サービスの補完的支援、関係機関と連携した感染症対応を行っていた。パンデミックにおいて、保健事業の検討に加え、感染症対応を余儀なくされるという事態において速やかな対応は、新たな新興感染症に対する備えにおいて平常時からの包括的危機管理体制構築の検討に活かすことができると考える。