第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター6群 ポストコロナ社会の看護への示唆~健康危機管理~

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:金子 恵子

[ポスターY-6-4] 保健師学生を対象にした感染症の健康危機管理教育の現状および到達目標の達成状況

鈴木 良美1, 山下 留理子2, 井口 理3, 石田 千絵3, 佐藤 太地3, 嶋津 多恵子4, 堀池 諒3 (1.東京医科大学医学部看護学科, 2.徳島大学大学院医歯薬学研究部, 3.日本赤十字看護大学看護学部, 4.国際医療福祉大学大学院, 5.大阪医科薬科大学看護学部)

Keywords:感染症、保健師、健康危機管理、到達目標

【目的】COVID-19 のパンデミック、さらにグローバル化が進行する中で、感染症の健康危機管理に強い保健師養成は喫緊の課題である。本研究の目的は保健師学生への質問紙調査によって、感染症の健康危機管理教育の現状と、全国保健師教育機関協議会が作成した「感染症の健康危機管理に強い保健師養成のための卒業時の到達目標」(以下、到達目標) に関する学生の達成状況を明らかにすることである。【方法】2023 年2-3 月に全国294 校の保健師養成課程の教員を通じて、最終学年の学生へweb による調査を依頼した。本調査は、東京医科大学医学倫理審査委員会の承認を受け、無記名自記式で調査協力の任意性を確保した。【結果】408 名から回答を得た。2022 年度の保健所実習の場は、保健所設置市等と都道府県保健所を合算して9 割超だったが、「実習に行っていない」学生も23 名(5.6%)いた。実習の実施結果は、「すべて臨地」235 名(57.6%)、「一部学内」160 名(39.2%)、「すべて学内」5 名(1.2%)であった。感染症の健康危機管理教育の受講は、講義373 名(91.4%)、演習207 名(50.7%)であった。到達目標10 項目に関し設定した到達レベルを達成できたと回答した割合(到達割合)は平均80.5%であり、同割合が低かったのは積極的疫学調査と保健指導に関する2 項目で60% 台であった。【考察】保健所実習の実施は保健師助産師看護師学校養成所指定規則(以下、指定規則)で定められているものの、調査結果では保健所実習に行っていなかったり、一部学内での実習となった学生もいた。保健所はCOVID-19対応の第一線であり、実習の受け入れが困難であったことが考えられる。感染症の健康危機管理の講義は9 割以上が受講していたが、演習は5 割程度と十分とは言えない。指定規則が改正され健康危機管理の演習時間が増加する中、演習の強化として、特に積極的疫学調査と保健指導のシミュレーションなどによる演習が求められる。感染症の健康危機管理の教育は、これまで講義や演習で学習することが多かったが、今後は保健所実習での健康危機管理の学習も強化していく必要がある。本研究は日本看護協会「感染拡大に備える看護提供体制の確保に関する調査研究助成事業」の一環として全国保健師教育機関協議会健康危機管理対策委員会が行った。