[ポスターY-7-1] COVID-19に罹患した高齢患者への効果的なせん妄予防ケアの検討
キーワード:COVID-19、高齢者、せん妄、隔離、看護ケア
【目的】隔離環境下における高齢患者のせん妄予防ケアに役立てるため、COVID-19 に罹患した高齢患者に行った効果的なせん妄予防ケアを明らかにする。【方法】事例研究。対象者はCOVID-19 に罹患し、入院隔離されていた認知症の既往のある高齢患者3 名。せん妄の評価はスクリーニングツール(以下DST)を使用し、カルテから情報を収集し比較検討を行った。対象者の家族へ本研究の趣旨及び方法、個人情報を保護する旨を説明し同意書で署名を得た。【結果】事例1 は90 代女性、入院期間中DST で「せん妄の可能性なし」と評価された。家族とのリモート面会の実施や、好きな花を一緒に眺めると笑顔が見られた。薬剤師と睡眠導入剤の種類や服用時間を検討し、タッチングをしながら本人の見当識に合わせて話を傾聴することで睡眠時間を確保できた。事例2 は90 代女性、入院3 ~ 6 日目、8 日目にDST で「せん妄の可能性あり」と評価された。入院時は泣いていたが、目線を合わせ、顔写真入りの名札を見せて話をすると穏やかになった。帰宅願望や低活動性について認知症看護認定看護師を交えてケアを検討した。理学療法士と相談し隔離スペースで看護師によるリハビリテーションや日常生活のできる部分を促した。また、リアリティオリエンテーションの実施、昔の話を傾聴する、家族と電話で話す、好きな歌を一緒に歌い褒めるなどを行うと、せん妄症状は改善した。事例3 は80 代女性、入院21 日目にDST で「せん妄の可能性あり」と評価された。幻覚に対して否定せず訴えを受けとめ、気になるものが視界に入らないようにした。タッチングを行いながら付き添い、持参した写真について話を聞くと笑顔が見られ、せん妄症状は改善した。【考察】COVID-19 に罹患した高齢患者へのせん妄予防に効果的なケアとして、生活リズムをつけるケア、個人防護具着用下でもコミュニケーションを円滑にする工夫、隔離による孤独感の軽減や家族との関係を維持するためのケアが挙げられた。具体的には、リハビリテーションや好きなことを生活に取り入れること、名札の工夫、本人の見当識を受けとめ傾聴すること、家族とのリモート面会の実施などであった。感染対策を要する環境下においても患者背景に合わせてどのようなせん妄ケアを行えるか他職種を交えて模索しケアを実施したことが、せん妄予防や改善に効果があったと考える。