第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター7群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護の改善への取り組み①~

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:谷口 理恵

[ポスターY-7-5] 新型コロナウイルス流行時の認知症患者における身体抑制の現状

佐藤 美奈子, 加藤 江莉香, 圓谷 美紀 (太田綜合病院附属太田西ノ内病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症、認知症、身体抑制

【目的】新型コロナウイルス感染症流行前後での認知症患者への身体抑制の現状について調査する。感染状況によって個室管理が必要になる認知症患者の対応について示唆を得る。【方法】2019 年4 月から2021 年3 月までの期間でA 病院の認知症ケアサポートチームが介入しているB 病棟の患者を対象とし抑制の有無や内容を集計する。研究デザインは横断研究。抑制が必要と判断された患者については、診療情報より年齢、性別、疾患名、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク、治療方法、使用薬剤の情報を用いて記述統計を実施した。データは匿名化し個人情報保護に努め、パスワード付USB へ保存し施錠管理できる場所に保管した。データは本研究以外で使用しない。研究者の所属施設の生命倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】対象患者は2019 年46 人、2020 年74 人、2021 年42 人であった。3 年間の平均年齢は84 歳であった。抑制率は2019 年71.7%、2020 年67.6%、2021 年95.2% であった。ドレーン挿入率は2019 年19.6%、2020 年8.1%、2021 年19.0% であった。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクは2019 年(3)58.6%、(4)30.4%、2020 年(3)72.9%、(4)13.5%、2021 年(3)57.1%、(4)14.2% であった。向精神薬内服率は2019 年39.1%、2020 年4.0%、2021 年23.8% であった。【考察】感染拡大前後の2019 年と2021 年を比較して抑制が増加していることが明らかとなった。この時期のA 病院の病床運用や看護体制を合わせて分析すると、2020 年3 月以降面会制限を行い、2021 年5 月以降緊急入院は全て個室管理となった。家族との関わりの減少や、環境の変化によって患者の認知症状に影響を及ぼすと考えられた。新型コロナウイルス感染症拡大や病院運営の影響により、感染対策や個室管理のため頻回な訪室が困難となり、抑制せざるを得ない状況となってしまっていることが抑制増加の要因として推察された。どのような状況下にあっても、認知症や認知機能が低下している患者にとって入院や面会制限などで環境の変化をきたすことで、認知機能の混乱がある。よって混乱を最小限にしながら、患者が安心し安全に療養生活を送れるように看護提供していく必要があることが示唆された。