[ポスターY-7-6] 重症化したCOVID-19患者への看護介入
―生命の危機的状況になった思いをもとに―
キーワード:COVID-19、感染症、危機的状況、重症化、隔離環境
【目的】重症化したCOVID-19 患者が、危機的状況下にてどのような思いで治療を受けていたのか、また看護師に対してどのような思いを抱いていたのかを明らかにする。【方法】先行文献を検討し、独自に作成したアンケートを患者29 名へ郵送し20 名の回答を得た。質問内容は、入院時の思い・入院中の思い・看護師への思いの3 つの項目に分けた。回答方法は、年代と重症化リスク要因は選択式、不安の有無と内容に関しては感覚尺度を用い点数化し、治療方法とその理解度に関しては複数回答、入院時や治療中の思いに関しては記述式を用いた。本研究は院内の倫理委員会の審査を得て、研究協力者の任意性を尊重し、個人情報の保証を行い実施した。【結果】性別は男性80%、女性20%、年代は40 代20%、50 代30%、60 代以上50%であった。そのうち75%が重症化リスク要因(高齢、悪性腫瘍、慢性呼吸器疾患、糖尿病など)に該当する患者であった。入院し安心感を得た患者もいたが、COVID-19 に感染したことやなにが起きるか分からない事への不安を抱く患者は80%であった。入院中の思いは、看護師から治療方法について説明を受けていたと答えた患者は70%、受けていなかった(覚えていない)と答えた患者は30%であった。酸素吸入量が増えた時や人工呼吸器を装着するとなった時の思いは、“ この先どうなってしまうのか不安”“ 苦しくてつらい” などの回答があった。看護師への思いは、“ 身の回りの介助だけではなく、他愛もない会話や声かけがよかった” という回答があった。また、家族とこまめに連絡がとれないことや防護服を着用するため対応が遅れることへの不満の回答もあった。【考察】患者背景として、職場や家庭での役割・責任が増えている壮年期が多いことや前例のない感染症であり、隔離環境下においてさまざまな不安が生まれ、精神的・身体的・社会的負担が大きいことが分かった。表情が分かりにくいことや、対応までに時間がかかることで、患者との関係構築が一般病棟と比べてより難しい環境であった。しかしその制限された隔離環境下で、治療の説明や安心感を与えるような親身な声かけや関わりは、患者に看護師の思いを伝えるための有効な看護であった。