[ポスターY-8-1] 発熱外来看護師が実践するCOVID-19陽性患者への電話対応による支援
キーワード:発熱外来、コロナ感染症、電話対応
【目的】A 病院では、新型コロナウイルス感染症(以下:COVID-19)の陽性者や家族に対し、主に電話対応で問診や検査結果を伝えている。発熱外来看護師は短時間での電話対応となるため、陽性者や家族の生活・心理状態の詳細を把握することは難しい。しかし、短時間でも看護師がCOVID-19陽性者や家族への個別的な対応を行うことは意義深いと考えた。先行研究では電話対応における看護実践の報告はみられなかった。そこで、本研究では、発熱外来看護師のCOVID-19 陽性者や家族との電話対応における支援を明らかにすることを目的とした。【方法】研究デザインは質的記述的研究である。対象者は、COVID-19 検査の介助やCOVID-19 陽性患者に電話で結果を連絡した経験のあるA 病院外来看護師5 名であり、インタビューガイドを用いた半構成的面接法を行った。分析方法はインタビューで得られたデータを逐語録に起こし、コード化、意味内容ごとにまとめサブカテゴリー、カテゴリーを生成した。研究参加は任意であり、不同意・同意撤回の場合も不利益を受けることなく、個人情報の保護には十分配慮を行うことを説明した。【結果】対象者5 名は全員女性で、看護師経験年数は23.4 ± 9.3 年、家族がCOVD-19 に罹患していた。看護師が実践した電話対応による支援は、23 のコード、6 のサブカテゴリー、3 のカテゴリーに分類された。看護師は[必要とする情報を察し対応する]など発話者の感情や意図をいち早く把握し[発話者の感情や反応に合わせて対応する]などの実践を行っていた。また、問題解決の方法を発話者と一緒に考えていくため[今後を予測し支援する]など、回復に向けた個別的な支援を行っていた。【考察】[ 必要とする情報を察し対応する][ 発話者の感情や反応に合わせて対応する] から、看護師は電話対応の事例を重ねることで、発話者の話を「聴く」というスキルを高め、発話者の感情や反応・思いに寄り添い、不安を和らげる支援を実践していたと考える。[今後を予測し支援する]ことは発話者に安心感を与え、孤独感を和らげる。これらの援助が、社会背景を含めた療養上の支援につながり、発話者が状況を現実的に受け止め回復への対処能力を取り戻す一助となると考える。今後は電話対応での個々の実践をスタッフで共有し、コミュニケーションスキルをより高めていくことが課題である。