第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター8群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護の改善への取り組み②~

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:谷口 理恵

[ポスターY-8-2] コロナ禍における動画を用いた退院指導の効果

―完全側臥位法による食事介助の退院指導を実施し
て―

池田 緑, 土屋 美奈, 輿石 恵 (川西赤十字病院)

Keywords:完全側臥位法、食事介助、退院指導

【目的】コロナ禍による面会制限の中、完全側臥位法による食事介助の必要な患者がA 病院の近隣施設であるB 施設、C 施設に退院する際、食事介助の方法を動画にして退院指導を行い、効果的な退院支援に繋がったのかを明らかにする。【方法】対象はB 施設とC 施設の職員の中で食事介助に関わっている看護師、介護職。A 病院倫理審査委員会承認後、対象者に研究の目的、方法、参加協力や同意後の撤回は自由意志であることを口頭・紙面にて説明した。研究の同意が得られたのは、B 施設10 名、C 施設18 名の計28 名。動画撮影は患者、家族に承諾を得た上で実施した。施設職員が持参したタブレットを使用し、食事のセッティング方法、食事中の観察ポイントを伝え撮影した。自記式無記名質問紙調査を実施し質問紙によって得られた単一回答は単純集計を行い、自由記載内容は類似した内容をまとめ分析した。【結果】調査票回収率は100%、有効回答率は89%。完全側臥位法による食事介助を知った経緯は「退院時に撮影した動画を見た」割合が全体で12% だった。B 施設は退院指導時に動画が上手く撮影できず、C 施設は動画を見たのは一部の職員で、他職員は口頭で伝達されただけであった。食事介助を実際に行ってどうだったかでは「不安だった」の回答が76%であった。理由は、初めてだからといった回答が多かった。コロナ禍で面会制限があり、患者の情報共有が難しくなったかでは「非常に思う」、「やや思う」の割合は71% だった。理由は、口頭では伝わりにくいといった回答が多かった。新しく実施するケアがあった場合、見学や動画撮影をした退院指導はより伝わりやすいかの質問では「非常に思う」、「やや思う」の回答が96% であった。【考察】初めて新しく実施する食事介助に不安を感じた職員が多く、分からないことが不安に繋がったと考えられる。退院指導では相手が理解しやすい説明をしなければならない。しかし、口頭説明では十分に新しいケアを把握するのが難しいと感じており、患者の様子を目で確認できる退院指導が必要である。今回、動画を見た職員が少なく、効果を明らかにするのは難しい結果となったが、動画を使用した退院指導は患者の状態をイメージしやすいと言われている。そのため、コロナ禍の面会制限で見学ができない状況においても、新しいケアを継続するために動画を用いた退院指導は効果的な方法の一つであると考える。