[ポスターY-8-5] 訪問看護ステーションにおける感染管理認定看護師の事業所訪問の効果の検討
Keywords:訪問看護ステーション、新型コロナウイルス感染症、感染予防対策、感染管理認定看護師、事業所訪問
【目的】訪問看護ステーション(以下、事業所)に所属する感染管理認定看護師(以下、CNIC)は約0.4%と少ない(2022年12 月時点、日本看護協会ホームページ参照)。CNIC が新型コロナウイルス感染症の流行3 年目に事業所を訪問し、感染予防対策の指導・相談を実施した(以下、事業所訪問)。本研究の目的は、事業所訪問に対する管理者の評価から、その効果を検討することである。【方法】CNIC が19 か所の事業所訪問を実施した。その内容は、事業所内の感染予防対策の実施状況の確認および事業所管理者からの聞き取りと改善の提案、事業所職員に対しての講義および手指衛生と個人防護具着脱の実習、訪問時の感染予防対策に対しての質疑応答であった。事業所訪問実施1 か月後に、事業所管理者19 名に対して事業所訪問に対する評価とその意義を問うアンケートを実施した。選択項目については単純集計を、意見等の自由記述についてはKJ 法を用いて分析した。対象者に研究の概要、自由意思の尊重、個人情報の保護、研究参加の可否による不利益の回避等について文書で説明し同意を得た。また、所属法人の研究倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】19 名から回答を得た。事業所訪問の意義を問う選択項目のうち、多い回答は「感染予防対策の可否が分かった」が18、「第三者からの評価で安心した」が16 だった。少ない回答は「新型コロナに関する新たな知識が分かった」が8 だった。自由記述を48 枚のカードに写し、それらを15 の小グループに分け、7 つの中グループに集約した。中グループの表札は「良いと思ってやってきたことを評価されて安心した」「疑問が解消されたことで安心した」「新たな気付きと更なる理解の深まりがあった」「実践していることの重要性を再確認出来た」「その後の実践につながった」「意識づけの機会になった」「今後の活動や課題」であった。【考察】選択項目と自由記述の結果からは、現行の対策の可否を把握し、管理者の安心感や意識向上に寄与する効果が示唆された。今回の事業所訪問は、感染予防対策に前向きに取り組む上での心理的支援となり、事業所の感染対策を推進する上で効果的であったと評価した。訪問看護分野に対する感染予防対策の指導・相談の方法として、このような事業所訪問は、事業所管理者が主体的に感染予防対策に取り組むための支援として有用である可能性が示唆された。