第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター9群 ポストコロナ社会の看護への示唆~家族看護①~

2023年11月8日(水) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:松沼 早苗

[ポスターY-9-1] コロナ禍での面会制限を受け、A病院で最期を迎えた終末期がん患者家族の抱える思い

天日 更織, 坂本 和美 (金沢市立病院)

キーワード:コロナ禍、面会制限、終末期がん患者家族

【目的】新型コロナウイルスの感染拡大により、終末期のがん患者家族は、面会制限を余儀なくされ、患者に直接会うことが難しくなった。本研究は、病院で最期を迎えた終末期がん患者家族が、面会制限を受け感じたこと、医療者に何を望んでいたかを明らかにすることを目的とした。【方法】2020 年2 月~ 2022 年5 月にコロナ禍で面会制限を受け、A 病院で最期を迎えた終末期がん患者家族80 名に質問紙調査を配布した。調査内容は、年齢、続柄、入院中の面会状況の他、医療者への要望、その時の思い等とした。自由記述の内容に関しては、類似する内容のもので分類した。研究対象者へは、本調査の主旨、倫理的配慮、研究参加の自由意思等を書面にて説明し、回答の郵送をもって調査の同意を得た。【結果】20 ~ 80 代の21 名の家族から回答を得た。医療者への要望として、亡くなる2.3 日前まで面会が不可であった家族や面会時間の制限があった家族は、〔患者に寄り添う姿勢を望む〕〔面会手段やリモート面会に関する要望〕があった。面会制限や個別での面会方法の対応を受けて感じたこととして、家族は〔面会方法の工夫に関しての思い〕〔病状説明や家族への言葉がけに関しての思い〕など看護師へ感謝する思いがあった一方で、一切、面会を出来なかった家族が〔医療者への不満・不信を抱く思い〕があった。また、面会制限を受けて〔会えない間に患者の様相が変わっていたことへの思い〕や〔患者に寂しい・不憫な思いをさせた思い〕、〔残念・悔やむ思い〕があった。【考察】終末期のがん患者の特徴は、最期の2か月で急速に機能が低下すると言われ、面会制限下で患者に直接会えなかった家族が、患者の容態の変化を側で見ることが出来ず〔会えない間に患者の様相が変わっていたことへの思い〕を抱く要因に繋がったと考える。家族は、面会制限によって患者の看病や身の回りの世話を出来なかったことが、〔患者に寂しい・不憫な思いをさせた〕や〔残念・悔やむ思い〕に関連し、家族の後悔は、死別後の悲嘆に影響を及ぼすことが考えられる。そこで、面会制限下であっても、患者の状態がリアルタイムで分かるよう体制を整えること、更に看護師は、面会が出来ない家族が抱いていた思いを理解すると共に、家族の思いを汲み取った寄り添う姿勢を大切にし、医療者間で家族とのコミュニケーションを図ることがより一層必要であると示唆される。