[ポスターY-9-4] 急性期病棟の入院患者にとって面会とは何かを考える
―新型コロナウイルス流行による面会禁止下で家族に会えない患者の思い―
Keywords:新型コロナウイルス、患者の思い、面会禁止
【目的】新型コロナウィルス流行により院内全体が面会禁止の対応となった。面会禁止となり家族と会えないことで患者から「家族に会いたい」「寂しい」などの言動が聞かれた。面会禁止で家族に会えない環境は患者にどのような思いをもたらしているのかを明らかにする。【方法】A 病院B 病棟はHCU8 床、一般病棟15 床を有する急性期病棟である。対象は入院3 日~ 7 日目の病状が安定し、かつ家族と同居またはキーパーソンが近隣に住んでいる10 名。調査方法は、半構造的面接法を用いインタビューを行った。インタビュー内容は主に面会禁止、面会制限について「面会禁止と聞いた時の感情・思い」「面会禁止で困ったこと」「面会禁止による不安やストレス」「面会禁止は必要か」「面会できるならば、誰に会いたいか」「なぜ会いたいのか」などのインタビューを行った。分析方法は、遂語録を作成、コード化、意味・内容ごとに類似性、関連性ごとにカテゴリー化し分析を行った。本研究は、院内倫理委員会による承認と主治医の許可、研究協力者には文書による同意を得た。【結果】対象の平均年齢は76歳。全て救急搬送され緊急入院となった患者である。9 名が隠居生活、さらにそのうち5 名が夫婦2 人暮らしであった。面会に対する思いのインタビューデータより、3 つのカテゴリーと8 つのサブカテゴリーに分類した。8 つのカテゴリーのうち、患者の思いは「感染により面会禁止を受容せざるを得ない」「面会禁止で家族に会えず最期を向かるのではないかという不安」「家族に負担をかけたくない」などがあった。患者にとって面会は「家族との情報をやり取りする場」「対面することで安心を得る場」であった。【考察】面会禁止により心の支えとなる家族に会えないことは、患者の不安を助長し精神的に悪影響を与えることが分かった。医療者は面会禁止が家族との大切な時間を奪っていることを念頭におき、これまでの生活の中で患者、家族が大切にしてきた価値観・患者の役割を、医療者間で情報共有することが重要である。看護師は療養中の患者の様子や患者の思いを家族に伝え、また家族の思いを患者へ情報伝達することで面会によって得られる安心に近づくような関わりになると考える。